ひょんなことから一人暮らしのサラリーマンの家に女子高生が転がりこんでくる――という一文だけだと、ベタな展開かと思いがちですが、予想を裏切ってくれます。
仕事に疲れたサラリーマンと、思春期まっさかりの女子高生が、お互いの人生観の違いをぶつけあいながら、少しずつ距離を縮めていく渋い物語です。しかも女子高生の素性があきらかにされないまま物語が進んでいくため、若干のミステリー要素をふくんでいます。あけてびっくり玉手箱みたいなヒロインと同居する主人公のギャンブル精神には感服しました。
作者の文章力が高いため、地味になりがちな生活のすれ違いが、芳醇な情景として浮かび上がってきます。
中盤をこえてきますと、個性的な猫とおませな幼女が加わって物語の横幅が広がってくるため、続きが楽しみな作品になります。
そう、続きが楽しみ、というか本作は不定期更新でして、私は続きを心待ちにしております。
突然やって来た家出娘JKとアパートで同居!!
普段えっちぃゲームや薄い本を見ている身からすると、思わずそわそわしてしまう設定なのですが、そんな期待をした自分をぶん殴ってやりたいくらいに、超清純派な作品。
洗練された作者さんの文体と相まって、そのストーリーと同じく心地よく読めるという傑作です。
すまない、変な目でみてしまった僕を殴ってくれぇ!!
誰か僕を殴ってくれぇ!!
クリスマスの夜に彼女に振られてしまった主人公。
そんな姿をたまたま見ていた女子高校生に、なし崩しに同居を求められてしまいます。
自分の素性について語ろうとしない少女。
クリスマスという偽名を使い、彼の妹という形でアパートで共同生活を始めた二人ですが、次第に二人は家族としての絆を深めて行くことになります。
社会生活に疲れ果て、無自覚に周りの人間の気持ちが見えなくなってしまった主人公。
主人公以外に頼れる相手が居らず、彼を通して社会性と人間性を獲得しようとする少女。
疑似兄妹という家族の形によって再生されていく人間の物語。
はたしてその物語の結末は――。
個人的には、妹モノとして認知されるべき傑作の一つではないかと思っております。
同居モノ、妹モノ、青春モノ、切ないモノ、泣きゲー好き、そんな属性を持っておられるかたには、どうぞとお渡ししたい一品。
おすすめです!!