Chapter.4 ダークダスク:ダークユーモア

4-1 鉄鍋の中で音を立てる焼きうどん

 この際何度でも主張するが、僕は悪くない。絶対に、今度ばかりは、僕は悪くない。

「まあ、確かに、君は悪くない」

 強いて言うなら、椿教授の度を越した無頓着さが悪い。あれはあんまりにもあんまりだ。

「同情はするよ。それだけだけど」

 明日香先輩は、相変わらず寝ぼけたような顔で、鉄鍋の中で音を立てる焼きうどんをすすりつつ、片手のビールジョッキを離そうとしない。

 僕も負けじとカシスオレンジをあおり、息を吐いた。

「ていうかあれですから! そもそも僕、別に皆本さんのことが好きって訳じゃないですから!! なんていうか巻き込まれただけで」

「へぇー。あれ、ゆきちゃんって、の人?」

 ニヤニヤしながら、明日香先輩は手の甲を頬に当てて、のサインを作った。

「じゃなくて! あの、すいません、つまりその友達っていうか」

「男女の友情って成立すると思う? あたしは懐疑派」

「知りませんよそんなこと! ていうかそれ今関係ないじゃないですか!!」

 必死に訴えても、明日香先輩はちっとも取り合ってくれない。段々説明するのも面倒臭くなってきて、ヤケクソ気味にタコの唐揚げを頬張る。

 大体、本筋はそこじゃない。そんな話はオマケの端っこに生えた毛の一本に過ぎない。

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