第2話 死にました?いえ生きているようです。

バード王国 夜

姫の寝室にて



「おぎゃ〜〜〜おんぎゃ〜〜〜ぎゃ〜」


「産まれたましたよ!ロール様‼︎3人目の赤ちゃんですよ!」


「はぁ はぁ、

みせて ソニー、私の 赤ちゃんを」


「はいロール様。ロール様がたった今お生まれになった赤ちゃんですよ!」

 とソニーは赤ん坊をその子の母親に落とさないよう気をつけて渡す。

「どなたかすぐに!バラーク様とこの子の父親のナギ様を呼ぶのです。

 赤ん坊が産まれたと伝えるのです。急いでください‼︎」


バラークとはバード王国の王様であり本名バラーク・キ・バードという。


「今すぐに呼びに行きますので少々お待ちください」

 と丁寧にいう侍女は急いでバラークと産まれた子供の父親ナギを呼びに行く。


「急げ‼︎」

と同じ侍女であるソニーはさらに急がすように

大きく叫ぶ。


「ぅあぁぁぁ〜〜んおぎゃあぁ〜〜ん」

と赤ん坊はその声を聞き驚いたのかさらに大声で泣きわめく。


「はぁ、 こらソニー赤ん坊が

びっくりしたじゃない!」

とソニーに対して怒る


「申し訳ございません。姫様」

と手を床につき頭を下げ綺麗な所作で謝る。

ちなみに姫とはロールのことである。

そしてそんな綺麗な所作をみていた赤ん坊は


「おぎゃ〜おぎゃ〜〜〜」と泣いていた

実際には

「あれ?ここはどこだ?

たしか僕は川の近くを、歩いていたのに…」

となぜかついさっき産まれたばかりの赤ちゃんにはあるはずのない、思い出や記憶を探っていた。




少し時間が経ちソニーではない、さきほど王様とナギを呼びに行った侍女の声が聞こえてき、扉が開く。

「こちらです。こちらの部屋でございます」


「あぁすまない、ロール遂に産まれたか‼︎」


「はい‼︎この子が貴方と私の3人目の子供です。お名前はどう致しましょう?」

と赤ん坊の母親であるロールが慈悲深い笑みを浮かべながらナギに赤ん坊を渡す


「あぁ名前はもう決めてある。

この子の名前はレイ、 レイだ……。」

するととナキはここでとある事に気づく、

自分達が産んだはずの子供には絶対に無いものが、産まれた子についていたのだ。それは…


「これは… ッ、ツノだ。

ツノがついている!!!!」

「!!」

とここにいたロールとソニー以外の侍女が驚きそして、その言葉の意味を…この国の姫であるロールから産まれたその意味を理解して恐怖する」


「なんじゃと!!!!それはどういう事だ‼︎

ナギ!それは貴様が鬼の血を引く者ということかぁぁぁ!!!!」

と覇気と怒気を兼ね備えた態度であるこの城の王様バラークが自分の娘であるロールの夫、つまりナギに掴みに掛かる。


「くっ、いえ!違います。私は、私は鬼の血を引く者ではありません!」

殿様に掴まれ苦しそうにしながらそう呟く。


「ではワシら一族が鬼の血を引くということか? それともこの子の父親がお前では無いということか⁉︎」

今度は怒気だけを纏いナギに忌々しそうに吐き捨てる。



「いえ、私はナギとしか事を致しておりません。それはソニーも知っているはずです」

とそこでロールが落ち着いてくださいとバラークを落ち着かせる。


「はいそれは間違いございません」

とソニーも肯定する


「あぁ、すまぬ」

ロールの睨みが効いたのか心を落ち着かせようとする。


「だが我等一族から鬼族が産まれたのを知られるとまずい事になるぞ、この城に置いておくこともできぬ。残念ながら始末するしか…」


「そんな…」

「バラーク様!」

とロールとナキが悲痛そうに言う。


「黙れ!ナギ!貴様は我等一族をなんだと思っている。貴様には罰を下す。

そしてこの子は死刑じゃ!」

苦渋の選択をするバラーク。


「なっ!」

固まるナギ

「そんな!お父様お考えを」

その答えに納得できないロール


「もう決定だ!明日の正午に秘密裏に殺る!

ロール!今の内にその子を可愛がってやれ。

我が一族に鬼は生まれてならん‼︎」

とバラークはそう吐き捨てるとソニー以外の侍女を連れて部屋から出て行く。

そしてこの部屋にナギとロールとソニーと赤ん坊の4人になり


「そんな…

私達の子を… そんなぁ‥」


「ロール様お気をつけたしかに」

ロールは堪え切れなくなり遂には泣き出してしまう。ソニーはロールを慰めようと言葉をかける。そんな自分の妻の姿をみて夫であるナギは大きな決心をする。



「ロールは私はこの子を連れて逃げる。」


「なっ…」

「正気ですか?」

とそれぞれロールは驚きソニーは疑う。


「あぁ、本気だ。そして私はそのままこの子と身を隠そうと思う。だから…だから…

オズとティアあの2人をを頼むぞ‼︎

ソニーもあの2人をよくみてやってくれ。」

オズとティアとは双子の兄妹であり、レイの兄と姉である。


「……わかりました。このままではこの子はあと半日もしない内に殺されてしまうでしょう

あの2人は任されましたあなたも気をつけてください」

ロールはナギを止められないという思いと、あと半日で処刑されてしまう我が子を守るためにナギの決断を許した。


「かしこまりました。あの双子の兄妹と

そしてロール様は私が命に代えても守り抜きます」とソニーは決意を言葉に表す。


「すまないな」


「ふふ、あなた謝ってばかりでは何もできませんよ?しっかりとこの子を守ってください」


「あぁもちろんわかってる。

城を抜け出すのは城の皆が眠った頃だ。」



ロールとナギはしばらく会えなくなるだろうと思い2人は抱きしめ合う。

ソニーはそんな2人をみて双子の兄妹とロールを守ろうと改めて心に誓う。


一方レイは産まれたばかりの赤ん坊なので

目はほとんどみえず耳は言葉がわからずで

諦めて前世の記憶を必死に思い出そうとしていた。


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