燃え姫~悪ノリが産んだ桃太郎~

サクラリンゴ

桃太郎じゃない話


 むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。


 ある日、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。

 おばあさんが川で洗濯をしていると、川上からドンブラコ、ドンブラコと燃え盛るタンスが流れてきました。


「おや、洗濯中に重大な選択だわ」


 おばあさんは、燃え盛るタンスを拾い上げて、家に持ち帰りました。


 おじいさんとおばあさんが燃え盛るタンスを使ってみようと、下から二段目を開けてみると、なんと中から燃え盛る女の赤ちゃんが飛び出してきました。


「これはきっと、神様が子供のいない私たちにくださったに違いない」


 宗教上の理由でプラトニックなお付き合いをしてきたおじいさんとおばあさんは大喜びです。

 燃え盛るおじいさんと燃え盛るおばあさんは、燃え盛るタンスから生まれた燃え盛る女の子に燃え姫と名付け、たいそうかわいがって育てました。

 すると、燃え盛る燃え姫様は、炎が燃え広がっていくようにすくすくと育ったりはせず、燃え盛る三歳くらいの幼女の姿で成長が止まってしまいました。


 そして、二十八年後のある日、燃え盛る合法ロリ大明神。もとい、燃え盛る燃え姫は言いました。


「私が成長しないのは、きっと鬼どもが何やかんやして邪魔しているからよ。あいつら、ちょっとシメてくるわ」

 そう言うと、燃え盛る燃え姫は燃え盛るおばあさんから燃え盛るきび団子をもらい、燃え盛るロリコンどもから巻き上げた燃え盛るお金を元手に買った燃え盛る牛車に乗って、鬼ヶ島へ向かいました。


 すると、旅の途中で犬に出会いました。

「燃え姫さん、燃え姫さん、どちらにお出かけになるのですか?」

「ちょっと鬼どもをしばき倒しに鬼ヶ島へ向かっているところよ」

「それでは、お腰につけた燃え盛るきび団子、一つ私にくださいな。あなたの下僕になりましょう」

 犬は燃え盛るきび団子をもらい、燃え盛る燃え姫に服従することを誓いました。


 しばらく歩くと、燃え盛る燃え姫と燃え盛る犬は、猿に出会いました。

「燃え姫さん、燃え姫さん、どちらにお出かけになるのですか?」

「ちょっと鬼どもをしばき倒しに鬼ヶ島へ向かっているところよ」

「それでは、お腰につけた燃え盛るきび団子、一つ私にくださいな。あなたの下僕になりましょう」

 猿は燃え盛るきび団子をもらい、燃え盛る燃え姫に服従することを誓いました。


 しばらく歩くと、燃え盛る燃え姫と燃え盛る犬と燃え盛る猿は、雉に出会いました。

「でゅふふ、かわいい幼女さん、どちらにお出かけになるのですか?」

「ちょっと鬼どもをしばき倒しに鬼ヶ島へ向かっているところよ」

「そ、それじゃあ、僕が連れて行ってあげるから、その後、僕と燃え盛る夜を過ごさない?」

 こうして、燃え盛る犬、燃え盛る猿、燃え盛る焼き鳥(元、サカる雉)を手中に収めた、燃え盛る燃え姫は、ついに鬼ヶ島へやってきました。


 鬼ヶ島では、周囲の村で虐げられ逃げてきた鬼たちが、このやせた土地で、野菜がとれたことを神様に感謝するお祭りをしていました。

「やあ、鬼さん。この燃え盛る焼き鳥を食べないかい?」

「ああ、どなたか存じませんがこんな上等なものをくださってありがとうございます。みんな、久しぶりの肉だぞ」

 と、鬼が油断した瞬間を燃え盛る燃え姫たちは見逃さず、すかさず鬼たちに攻撃を仕掛けました。

「やつらは、私の成長を阻害する邪悪な存在だ。一匹たりとも逃すでないぞ。かかれ!」

 燃え盛る犬は痩せこけた鬼の腕に食らいつき、燃え盛る猿はあばら骨の浮いた鬼の胸を切り裂き、燃え盛る牛は空気で膨らんだ鬼の腹に角で風穴を開けました。

 燃え盛る燃え姫は、周囲を焼き払い、鬼の村を焼け野原にしました。


 鬼の長老が、

「どうか、どうかご慈悲を。我々が貴方様に何をしたというのですか」

 と、額を燃え盛る地面にこすりつけ、泣きながら懇願してきました。


 ストレス解消に飽きた燃え盛る燃え姫たちは、燃え盛る村に残ったなけなしの金品を奪い、燃え盛るわが家へ帰りました。

 もちろん、燃え盛る燃え姫が三歳の姿から成長することはありませんでした。

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