第12話 思い出の

……うわあああああああ!!!やっぱり緊張するよぉ……

友達の秘密を知ってしまった…それに気づけなくて謝りに行くって…緊張しかないでしょおおおおおお!!!!

「ちょっとぉ!楓香ぁ!!レッスンの途中よぉ!!」

うっさいわオカマ!!!今それどころじゃないんだわ!!!あんたも知ってるでしょうが!!!今日は……私の勝負の日だってこと!!!!

「んもぉ楓香!こっちいらっしゃい!!」

「楓香ぁ〜…大丈夫なの??」

「しっかりしなさいよ………」

莉子と有紗に呆れられる。いいよな君ら!!!気楽にレッスン受けれて!!くっそう!!(泣)憂鬱すぎて屈葬されたい……(くっそうだけに?やかましいわ)

「……ごめんなさい」

「もぅ!ちょっとは集中しなさいよね!!……まあ今日が楓香にとって勝負の日ってことは知ってるけど……」

なんだ、分かってんじゃん…

「ならちょっとは配慮してください〜!!」

「そんなことしたらあの2人に怪しまれるわよ!?」

それもそっかぁ…

「だから今はレッスンに集中しなさい。ね?」

「はぁーい……」


休憩時間。いつもは莉子と有紗と他愛もないことを話すんだけど、今日はそんな気分になれないや…

「ねぇ!!楓香!聞いてるの!?」

「もぉ!おこだよ!!」

「え、あぁ…ごめん、で、何だっけ?」

「この前商店街に新しいクレープ屋さんがオープンしたから、私と有紗と楓香で行こうって思ってるの!」

「おお!!いいね!行きたい!!」

「だから、行くんでしょ?」

「うん!!行く行く!!」

へぇ!!クレープ屋さんなんてできたんだ!!

「そのクレープ屋さんね、前あった『M&Fっていうカフェを改装して出来たんだって!!』」

えっ……『M&F』…?そこって美奈のおばあちゃんが経営してたカフェ──!

私と美奈はよくそこに遊びに行った。もともとそのカフェは『Cafe・Sunny』って名前だったんだけど、美奈のおばあちゃんが私たちの名前の「美奈」と「楓香」をとって『M&F』にしてくれたんだ。


もう美奈との思い出の場所は残ってない──…─。

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