第11話 ヒミツ
【side 楓香】
「斎藤先生!!何で逃げちゃったんですか!!」
「楓香……」
「美奈すごく悲しそうな顔してました…先生が逃げちゃったから…」
「違う!!あの子が悲しい顔をしたのは…私が逃げたからじゃないわ…」
あああああ!!!!何でオカマに戻るかなぁ!!
「そうに決まってます!!美奈は…せっかく好きだった斉藤先生…斉藤先輩に会えたのに…」
「楓香!!!!」
今まで聞いたことのないような大声で先生が怒鳴った。
「…あの子は…もう…この世にいないの…」
……はぁ?
「何言ってるんですか!?ちゃんと先生も今日美奈の姿を見たじゃないですか!!」
「あの子が会いたいと思っている人には姿が見えるの…」
「え……?」
「私はずっと見えてたわ…美奈のこと…ずっと教室の隅っこで…貴方達の練習を見てた…」
「でも!さっきは久しぶりだって言ったじゃないですか!!」
「あれは演技よ」
そんな…
「でね、ある日美奈が私に言ったの。『楓香と話したい』って。楓香たちの仲間に混ざりたい…って。でもあの子、引っ込み思案だったし、またいじめられるのが怖くて、やっぱり楓香だけとしか話せなかった…」
美奈…言ってくれれば良かったのに…有紗も莉子もみんないい子だよ…晴香だって嫉妬心が強いだけで…きっと根は優しいはずだよ。
「私…美奈も一緒に話したかったよ…そしたら…みんなと仲良くなれたと思う…」
「…そうね」
「美奈………ごめん…先生」
「どうしたの?」
「私、明日美奈に謝りに行きます…気づかなくてごめんって…」
「ええ。行ってらっしゃい。楓香なら出来るわ」
「はい…ありがとうございますっ!!」
美奈と会えるのも…明日で最後かな。
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