第7話 ウワサ

〈side楓香〉

家に帰ってからも私はずっとムシャクシャしていた。晴香、何で美奈を見た途端に逃げ出したんだろ。意気地無しはやっぱり晴香だよ。

何だか美奈も隠し事してるみたいにそわそわしてたし。


〈それでさ!!莉子がさぁー!!〉

〈……〉

〈ちょっと美奈?〉

〈え?あぁ…ごめんね?続き話して?〉

〈大丈夫?疲れてない?疲れてるなら…〉

〈大丈夫!本当に大丈夫だから…ね?〉

〈う、うん…わかったよ…〉


美奈…何か悩みを抱えているんだろうか。私にも話せないのかな。話せることがあったら何でも話して欲しい。だって美奈は、大切な友達なんだから。美奈の力になることは何でもやってあげたいと思ってるし、困っている友達を助けるのは当然のことだと思ってる。美奈は昔から1人で抱え込んじゃう癖があるから。


次の日学校に行くと、女子が何やら噂をしていた。

「えー、怖ー!!」

「それやばくない?だって幽霊でしょ?」

「うん…しかも、それが見えてる子が居るんだって!」

何だ…幽霊とかそっちの話か。私はそんなもの信じないから全然気にしないんだけど。なんて思っていたら。

「ねえねえ!楓香ちゃん聞いて!!楓香ちゃんが通ってるっていうダンススクール、幽霊が出るらしいの!!」

「はぁ…」

だから私はそんなの信じないって。

「へぇ…そうなんだ」

「しかもしかも!!それが見えてる子が居るみたいなの!!」

「そうなの?怖いね」

もう!面倒くさいなぁ!!

「で、その幽霊は、過去にそのダンススクールに通ってて、いじめられて自殺した子の幽霊なんだって!!」

──美奈と似てる。

「いつ頃の話?」

「んと、ちょうど9年か10年前だったかなぁ」

その頃私は8歳。

まさか…そんな…ね?違うよね…?

──お願い、違うって言って……!

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