第4話 過去と天敵
「美奈!!やっほ〜!」
「あ、楓香ちゃん!来てくれたんだね!」
「そりゃ来るよぉ。だって約束だもん!」
ここで私はふと気になっていたことを思い出した。
「ねぇ美奈、何で私のメアド知ってたの?」
あっ、と美奈の顔が強ばった。
「んと、えと…私の通ってる高校で、楓香ちゃんと同じ中学だった子がいて、その子から聞き出したんだ」
私と同じ中学で遠くへ行った子って…
「あ、思い出した!!國立ゆうか!!ゆうかから聞いたの?」
國立ゆうかは家の都合で遠くに引っ越した私の中学の時のクラスメイト。
「そっ、そうそう!!ゆうかちゃんから聞いたの!!」
「なぁんだ!だったら美奈、こっち来る時連絡してくれれば良かったのにぃー」
「えへ、ごめんね…楓香ちゃんを驚かせたくて…」
と照れる美奈。ああもう可愛いなぁほんとに!!!そんな美奈をぎゅーっと抱きしめる。
「わ、苦しいよ楓香ちゃん!!」
なんてもがいても離してあげない♡
「私をびっくりさせようとしたお仕置きだぁ〜!」
「うぅっ…えへへっ…」
ずっとこの時間が続けば良いのにな…私は美奈の肩越しに見える燃えるような夕日を見て思った。
「ただいまー…」
いつもの2人とコロッケを食べ終え帰宅。今日の晩ご飯は何かな。匂いからするとカレーかな?
「お帰り。今日もコロッケ食べてきたの?」
「はい、すみません。食べました」
お母さんは大袈裟にため息をつくと、
「食べてくるのはいいけど、ちゃんと家のご飯も食べなさい!!」
「はい!!!すみません!!!」
だってコロッケ美味しいんだもん…
「ねーちゃん最近太ったなぁとは思ってたけどそんなことしてたんだな」
「うるっさいわ黙りなさい竜二」
弟の竜二にまでからかわれた。そりゃさ、竜二は痩せてるからいいよ?てか食べても太らないじゃん!!
「もう!いただきます!!!」
半ばヤケになってご飯を食べた。
その夜、思いがけない人物からメールが来た。─晴香だ。
『ねぇ、この前私の可愛い子分ちゃんが星野美奈を見たって言ってたんだけどあんた何したの?』
…はぁ?何よその言い方。
『…美奈は一時的に帰ってきてるんだよ、地元に。だから私がなにかしたわけじゃないよ』
『あんたのそのメールの書き方、星野が悪いみたいな言い方ね。ウケるww』
私は送ったメールを慌てて読み返した。
─確かに晴香の言う通り、美奈が悪いみたいな言い方になってしまっている。
『でも私は美奈が悪いなんてこれっぽっちも思ってないし、むしろ美奈のこと歓迎してるし』
『とにかく、私の子分ちゃんが怖がるからやめてくれない?』
…あんたの子分に美奈が何したって言うんだよ…
〈ちょっとぉ、美奈ちゃん!!あたしの衣装どこに隠したのよ!!!〉
〈サイッテー!!自分が足怪我して出れらなくなったからって言って唯ちゃんの衣装隠すのやめたげてよぉ!!〉
違うでしょ…
〈わ、私は隠してなんか…〉
〈うわ!すぐそーやって嘘つくんだぁ!〉
〈ねぇ!晴香ちゃんからも何か言って!!〉
美奈じゃないでしょ…
〈ほ、ほんとに隠してない……〉
〈…人のもの隠した上で嘘つくなんてサイッテーな女の子だね、美奈ちゃんって。お嫁さん行けないんじゃなぁーい?〉
〈アッハハハ!!そうだねー!!〉
〈サイッテーな女の子だもんね!!〉
うるさい…やめて…
〈……うぇっ…〉
これ以上美奈を………
「傷つけないでよ!!!!!!」
ムカつく。何アイツ。ふざけないでよ。美奈を散々傷つけておいて…
美奈は何もしてないじゃん。自作自演じゃん。
〈美奈ちゃん!今度は唯ちゃんの衣装隠したの!?〉
〈ち、違います……〉
〈だって晴香ちゃんも亜美ちゃんも見てるんだよ!!〉
〈えっ……でも〉
〈言い訳はいいの!とにかく!唯ちゃんにごめんなさいして!〉
先生…違うよ……この3人が自分たちでやったんだよ……
〈ご、ごめんなさい…〉
〈もうしないでよね〉
〈そうそう!!〉
〈私の大事な唯ちゃんいじめないでよ〉
やってないって言ってるじゃん…!先生も何で信じてくれないの?
──私はあの時、美奈を救えなかったことを本当に後悔してる。自分がターゲットになるのが怖かった。先生に怒られるのも嫌だった。
〈美奈…今日も助けてあげられなくてごめんね…〉
〈いいんだよ、楓香ちゃんはこうして傍にいてくれるだけで。私、すっごい安心するの〉
本当に…?私なんかでいいの…?
─助けてあげられない自分が憎いよ…
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