文章そのものはとてもクオリティが高いと思います。破綻がなく読みやすく、ストレスを感じることなく読み進めることができました。
地下世界に押し込まれたという舞台設定も良いと思います。その要素をこれから、あるいは序盤から強く発揮できていると良いと思います。現状、我々が日常過ごしている世界との大きな違いを感じにくかったので。
そして『序盤にインパクトが足りないのでは』とのことでしたが、決してそんなことはないと思います。
前述した世界観や、主人公に告白すれば怖い先輩に脅されるという噂、告白されたと思いきや自分の命を狙ってくる女子。展開の要素だけ抜き取れば、かなり面白く見えます。
しかしそれらのインパクトが、淡々とした文章やキャラクター達によって活かしきれていないように思えました。喜怒哀楽を感じることができず、殺しにかかってくる女子を前にしてもクールに会話するなど、それは最早違和感とも取れました。
キャラクター小説のように無理に盛り上げろとは思いませんが、せめて「この人は今怒っているんだな」「主人公は今驚いているんだな」といった部分が伝わりやすくなれば、序盤からでもグッと読者を引き込むことができると思います。
要約すると、『もう少し読者が感情移入しやすいものにすれば、より多くのファンが付くのでは』ということです。
作品も作者さんも実力はかなりあると思います。それを今後、最大限に発揮して欲しいです。