中学1年春

あの子にあったのは、初めての部活の日だった。


まだ新しい制服に身を包み、やっと学校生活になれてきた6月。

運動は苦手だから文化部に入ろう、とは思っていたがなんとなくで決めた調理部。

部室は、1年生が使う教室からおそらく1番遠くにあった。知らない場所。扉には大きめな窓ガラスがあり中の様子が良く見えた。場所は間違いないが人は見えず、まだ気の弱い1年生だった私は不安でドアの前で立ちすくんでいた。


初めてあの子を見たのはその時だった。


体感では何10分も過ぎた時、部室の奥の影からひょこりと顔をだした人がいた。白い肌に黒い髪。雰囲気から1つぐらい上の上級生かとその時思った。手招きをするあの子を見て、恐る恐る扉を開けた。

そしてその後、部室に人がいなかったのは準備室という隣接した部屋にみんながいた事に気づき、あの子は同い年であること、クラスと名前を知った。


その後のことは、不安だったことしか覚えていない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

青春葛藤記 冬季 @huyunohosi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る