第49話 湿度100%だと喉が渇かないけど、ジュースがぶ飲みしちゃいますよね?


袖をつかまれただけでも、気は失わないものの頭に血が上りなんだか頭がクラクラしてくる。シンガポールのむっとくる湿度と心臓のドキドキが重なって、僕は限界に達していた。


こっこれは駄目だ!なんとかしないと!っていうか、なんだかいつの間にかなし崩し的に、半分付き合っているような雰囲気が漂っているような感じになっている...


ちょっとこの状況から抜け出さないとね。第一こんなところ清水にもし建物の陰で見られていたら、大変不味い事になりますよ。


「あっあのさあ、玲奈...悪いんだけど、袖を...」


「エッ...嘘!めっちゃ嬉しい!!!」


えっ?何が?僕なにか喜ばせるような事したかな...?


「だってさ...やっと...やっとさ、私の下の名前を自然な感じで呼んでくれた! めっちゃ嬉しい!」


玲奈の顔は、普段少しだけ吊り上がり気味の目が、別人かのように目じりがいつもより4度位垂れ下がり、はにかんだ口元からは両方の八重歯が覗いていた。


玲奈の少しだけいたずらっぽい笑顔を見ていると、別の意味で心臓の鼓動が早くなるのが分かってきた。そして次の瞬間、その笑顔が少しだげ眉間にしわが出来て、不安そうな表情に変わってくるのが、わかった。


「まだ...間に合うよね...? 手遅れじゃないよね...?」


「えっ?何が ?..」


「う~ん...何でもなーいよーだ...さあてと...あまりコーキを緊張させて倒れられても困るから、次の場所にいこうか!」


そういうと、玲奈はパッと僕の袖を離して、AIタッチパッドで次の場所を検索し始めた。



はなあには悪いけど...この滞在中で、絶対遅れを取り戻す!そして逆に差をつけてやるんだから...



ここまでお読み頂きありがとうございます。

涙が出るほど嬉しいです!

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