第39話 番外編 強欲守銭奴美少女登場 その2
あの後、少し昼寝でもしようかとおもったんだけど、ちひろに無理やりリビングまで引っ張り込まれてしまった。
「あのさ、腕組むのやめてくれる?」
母さんは、微笑ましそうに仲の良い従妹って感じで見てるような気がする。助ける気ゼロ!
「ええーいいじゃんこれくらい久しぶりなんだからあ~あっひょっとして照れてるの?ねえねえ!」
「あのねえ、ちひろ君、君は従妹で俺にとっては妹みたいなもんなんだよ。もし俺がちひろを女として見てたら、お前も知ってるだろう?とっくに気絶してるよ」
「チっ!つまんないの~!あ~あボクがせっかく北海道からきてあげたのに。普通こ~んな可愛い女の子が出迎えてくれて、抱きつくなんて宝くじ1等賞もんでしょう!」
普通......宝くじ1等当選したら、持ち金が増えるけど、お前の場合は逆なんです!
「で?まだお盆前なのに、どうしてここにきたんだ?じいちゃん家に行くのか?」
「ううんそうじゃない、実は私さあ来月から中等部へ編入することになったから、その挨拶にきたんだ」
「え?何処の学校?」
「こうちゃんのところ」
「えっ?うち?彩備の?」
何故うちに??
「そうだよ~嬉しいでしょう~可愛い従姉妹が同じ学校にいてくれて~」
「そっそうだな」
不味いな......何か嫌な予感がする。僕は引きつりながらも笑顔を辛うじて作った。
ここで何度も主張したい! ちひろは、もの凄くお金にがめつい。
お年玉も全員のをチェックしまくるし、未確認情報だけど、なんでも中一の時の同級生にカルチェだかなんだかのブランドのバッグを3個も買って貰っただとか.....まさに極悪!
まあ、こんなラブライブをリアルにしたような厨2受けする顔、しかも大きいのは目だけじゃなくて、顔のしたのほうもかなり大きくなってて......
そりゃ皆さん!こんなのにキラキラオーラ発しながら物ねだられたら、男子生徒のみでなく、浦和とか柏とか歩いているリーマンでもすぐに落ちるかも。あああ、だから女ってヤダヤダ、怖いなあ~本当に怖い、一瞬ク-ラ-いらなくなっちゃった。
「何で彩備を選んだんだ?他にも埼玉にはいい学校たくさんあるだろう?」
今からでもこの守銭奴の決断を変更させないと!
「えっ、だってさあ、セレブの生徒がたくさんいるんでしょう?私もこうちゃんみたいに、セレブの彼氏からプレゼントとか欲しいななんて」
「えっ、?」
なんでこいつがそんな事まで知ってる???こいつも誰かと同じでスパイか?
「叔母さんから聞いたよ、玲奈さんって言うんでしょう?いいなあ~高い自転車セレブの彼女から貰えて~」
「母さん!」
「さあ買い物いこうかなあ~じゃね、ちひろちゃんごゆっくり~」
全く余計な事をベラベラと。最近母さんはいろんな意味でちょっとずつたくましくなっている。近所の人に誘われて入った町内会の合気道サークルに入り、もともとセンスが良かったらしくて、めきめき腕が上がっているらしい。なので、今は親父も強くなった母さんに無理な事を言わなくなっている。
いろんな意味でちょっとずつたくましくなっている母さん。嬉しい反面、ちょっと複雑......
「あのさあ...ち-さん、ひとつ言って置くけど。お前いつもお金お金ってそんなことばかり言ってると、みんなに引かれちゃうぞ」
「はあ?そんなことそんな事気にしてるの? 大丈夫だよ、だって私外面は良いから、上手くやれるよ!」
「そうなの?」
「ふふふぅ、よく言われてるあざとい女とかはさあ......結局あいつらって、私ってわがままだけど可愛いでしょ!てっいうテンプレを100%実行してるから、女友達からハブられて根も葉もない噂を立てられて失敗するの!」
「ほお」
すっ凄い洞察力!なるほど学校カーストの暗黙のルールをよくわかっていらっしゃる。まっ僕みたいにずっとカースト底辺の人間には、仮にルールが分かっていたとしても、輪の中に入れないので、意味ないですけど。
「私はさあ......イケメンもそうでない男子も、なんならこうちゃんみたいな、カースト底辺の男子にも同じ言葉の使い方とかする様に徹底しているの!」
「そうなの?でも、気に入った男子とかには、知らずと可愛らしい態度とか言葉使いになっちゃうんじゃないの?知らんけど」
「へえ、こうちゃんなのに、そこまで気づくんだあ...それ、あるよねぇ、無意識でってやつ。だから私はランチとか放課後は、他の友達とかクラスメートとの会話を全部スマホに録音しているの! それで家に帰ったら2倍速で聴いて、自分の会話に偏りが無かったかチェックして、もし偏りがあった場合は、修正するようにしてるんだ~ねっ健気でしょう~私って!」
うわあ~なんだこいつ...ここにも、凄いのがいましたね.....うちの生徒会にもこんな感じの変な奴一人いるけど。
「それにさ、友達の恋愛相談とか、悩み相談とかもよく聞いて、彼氏紹介とかもしてるから同姓友達多いよ!まっ連合軍総司令長官みたいなものだから問題なし!」
既に総司令長官に就任してるんですね、はあ、偉いですね。まあ、そうなら絶対ちひろとは敵対したいくないっていうか、敵対したとたん日独伊側で負けじゃねえか!くわばらくわばら!
「それでさあ寮に正式に入れるのが来月からなんだよね、だからちょっとだけここに居させて貰おうかと思って」
「まあ、酔っ払いの親父もしばらく出張だから良いと思うけど……」
こいつ絶対叔父さんから貰ってるホテル代浮かそうとしてるな。
「やったぁ、こうちゃんとも久々にいろいろ話したかったしね、それにこうちゃんの彼女さんとも話したいなあ」
「あ、その事だけど玲奈は単なる、うん?」
玲奈って僕の何?クラスは違うし、付き合ってもいないし、知り合いがあんな高価なもん貰わないしな......友達?と1人自問自答。
「ねえ! 何ひとりで、もごもご言ってるの?はっきり言ってよ~」
「単なると、友達だよ」
「それって.....ホント?」
「本当に決まってるだろう」
「そう......だったらさ私......」
ちひろの大きくて少しだけ黒目がちな瞳がすっごい至近距離まで近づく。うわっ!すっごく顔が熱くなってくるのが分る。
「えっえっあの、そのう......個別の案件には回答を控えさせていただきます。......」
「えっ」
「いや、あの、そのう」
「アッハハハハ~馬鹿みたい!こうちゃんやっぱり面白いとこ少しも変わってないんだなあ~」
くっそ~この野郎!!でも反論できないとこが悔しい~
「でもさあ、私高いものとかブランド品詳しいんだけど、あの自転車確か70万近くするよ、単なる友達でそんな高いもの買ってあげるなんて、やっぱり何かあるとしか思えないよ~」
こいつ詳しい!超詳しい、こいつのツイッターのアカウント見たことあるけど、ブランド物とか高級品のツイートで1日100近くつぶやいているだけある。玲奈とかウチの学校の他のセレブ連中とかと超話合いそう!落ち着け!下手な事言わないように......まずは何か飲んで場の雰囲気を変えよう。
「ああ~のど渇いた」
冷蔵庫を開けるとカルピスがピッチャーに入っていた。おかしいな普段母さんはカルピス作らないのに......ひちろが、そんな僕の場の雰囲気変える作戦など全く気にせずまくし立てる。
「そんな高いもの単なる、しかも女の子の方から貰えるなんて絶対なんかある~何で隠すの~?」
「別に何にも隠してないよ」
「いいじゃん従兄弟どうしなんだから~」
「お前想像力有りすぎ!早くカバン片付けろよ」
まずいな~こいつと関わるとなんかいやな事が起こりそうだ!
「そんなの後でやるから!ねぇ~」
「しつこい!」
「ねぇ~」
「何だよ」
ちひろは少し小声で耳元で囁いた。
「どこまでしたの?」
「へっ?な、何を、言っているんだよ、何もしてねえよ、なっ何言ってるんだ、よ」
まずい、声が裏がえってるまずい!ここはカルピスでも飲んで気分を落ち着かせよう。コップからゴクリとカルピスを飲んだ......
グハッ!ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!
口から飲んだカルピスを吐き出す。
ゴホ、ゴホ、ゴホ!!咳が止まらない!なんだこりゃ?ものすごく甘酸っぱい!これは......カルピスの原液?
「なんだこりゃ?原液?」
喉が痛い!!
「あああ~汚ったないな!!もったいないじゃん!何ではくのかな~せっかく私が作ったのに!」
「お前なあ!!北海道はカルピス原液で飲むのが普通なのか?」
「違うよ、でも美味しいでしょう?松川家にも広めようと思って」
「叔父さんもこれ飲んでるのかよ」
しばらく沈黙し、やや可愛らしく見えるように200%の作り笑いを浮かべながら言う。
「え~と、弟の芳樹だけ!」
そんな誤魔化しのうそ微笑他の男子ならうっかり信じちゃうかもしれないだろうけど、僕には通用しないぞ!!
「どうせお前が洗脳したんだろう、小一だからおねえちゃんの言うこと聞いてるだけじゃないのかよ?」
「いいじゃない弟なんだから、少しくらい手なずけても~」
「手なずけるの言葉を弟に使うなよ、しかも微妙に言葉の使い方間違ってるし」
「そんな細かいことはどうでもいいの!ここでの問題はこうちゃんがまだ……あの……その、ねえ」
そう言うとはあとため息をつき、ちひろは少し呆れたような表情をした。
「はぁ、ああ、分かったよ。この様子だと、本当にまだ女の子苦手なんだね、いやぁその年でまだ付き合えてもいないのかあ~」
「あのなあ!!僕だって!」
「いるの?彼女?玲奈さん以外に?因みに私はこの前地元で3人目振ってこっちきたんだけど」
はい何も言えませんが、何か?と1人自嘲。
「はい、大当たりの図星沈黙ありがとーパフパフ~!!」
何?このすんごい侮辱感!格闘ゲームの中なら完膚無きまでボコるんだけども?
「しゃあないなあ、ちーが協力してあげるよ!とりあえずさしあたっては玲奈さんだね、ね、早速今日会わせてよ」
さしあたってとか言うなよ。
ちひろが満面ににやけた笑みを浮かべる
「ウシシシシシィ~」
「何もねえよ、友達だよ!」
「またあ~ねっ会わせてよ~玲奈ちんに~」
「だが断る!」
直情型の玲奈に詮索好きなちひろがからんだら、何が起こるか分かったもんじゃない。
「えーケチ、ケチ」
「それは、お前自身の性格を現す言葉だろ」
その時ラインが鳴った。送り主はばつが悪い事に悪い玲奈だ。まあ、そのままにして置こう。
「ライン入ったみたいだよ」
「いいよ、大したことじゃないから」
「えー誰から?」
「ちーには関係無いの」
そして間髪入れずに電話がなる。相手は玲奈。流石に出ないと不味いですよね......
「はい、松川です」
「はぁ?なんで他人みたいな話し方なの?ああ!!コーキ私の番号まだ登録してないの!!!」
「い、いや、あの冗談だよ!」
ちひろに知られたくないとか言うと余計話が混乱していくような気がするからな。
「えっ?コーキも随分変わったね、冗談言うなんて。まっそれならいいや。ねえコーキ、親戚の子遊びにきてるんでしょ?私にも会わせてね~」
「え、どして?どうして知っているの?」
「何日か前にコーキのお母さまと電話で話したら、従姉妹が遊びに来るから、もしよければ、相手をしてやってねって頼まれたから......頼まれたら、私断れない性格だから従姉妹の面倒見てあげるね。こう見えても私妹小さい時から面倒みてるから得意だよ!じゃあ私役員会議に出なきゃならないから!またね!」
本当に、どいつもこいつも余計な事ばかり話しおって~
うん?役員会議ってなんだろう?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます