第18話 なんでこんなに知ってるの?



  書類にサインした後、今日は田中に用事があって少し遅れてくるとの事だったので、僕は生徒会の年間活動について簡単に説明を受けていた。


 でもその説明が終わると直ぐにやることもなくなり、手持ちぶさたになってしまった。僕は今ならバス停でバスを待っている関口に追いつけると思い、清水に切り出した。


「なんだか今日はやることが他にはなさそうですね?」


「まぁ…、そうなるね。1次活動だと書類作成は今のところやる事はないし、学園祭関係の下準備もある程度できているから今手伝って欲しいことはないかな。う~ん、それに2次はいつ呼ばれるかわからないし」


「すること無いなら帰ってもいいですよね?では僕は帰ります」


「また~、そんな他人行儀な事言わなくてもいいじゃないか。君の好きな歌舞伎揚げもあるからさ」

と清水が巧みに人の要望をそらしにかかってくる。


僕は歌舞伎揚げという自分のHOTワードに思わず浮ついてしまった。

「歌舞伎揚げ!本当?じゃあ!」


 え?うん?それって何かおかしくないか…?

「どうして俺の好きな物知ってるの?」

清水はとぼけて笑い、

「さあ?」

そして、少し間を置いて

「やっと、ため口で話してくれたね」

と穏やかな表情で言った。

「え、いや…、そのー…僕はやっぱり帰ります」

 

 顔が紅潮してくるのが、自分でもわかる。それにこの人、どこまで人の事知ってるんだ?


 出口へ近づこうとすると、ちょうどその時ドアが大きく開かれ田中さんが入ってきた。田中さんは僕が帰ることを察したのか、巧みに僕の進路をブロックし、出口に近づかせない戦法を取ってきた。


「え~まつくん、いっちゃうの~?」

「生徒会でできることも無いし、にじかつもいつあるか分からないから帰るって」

「もうちょっといてよ~、こいつと4月からずっと一緒だけど理屈っぽくてつまんないんだよね~。それにいつも誰かにつっかかっていらない問題ばっか起こすし」


「ほお~、はな棒君、それを言うかね」

「ああ~~!!?なんだって、また言ったなおまえ!第一お前のそういう一言多い性格が原因で2年の役員が全員辞めちゃって1次活動やる役員がいなくなっちゃたんだろ!まつ君が来てくれなかったら2人でどうするつもりだったんだよ!」


「えっ?2人でってどういう意味ですか?」


 僕は思わず素直な疑問を口にした。


「あちゃ~…」

そう言うとバツが悪そうに頭を掻いて無言になった清水がいた。

 


 書類にサインした後、今日は田中に用事があって少し遅れてくるとの事だったので、僕は生徒会の年間活動について簡単に説明を受けていた。


 しかし、その説明が終わるとすぐにやることもなくなり、手持ちぶさたになってしまった。僕は今ならバス停でバスを待っている関口に追いつけると思い、清水に切り出した。


「なんだか今日はやることが他にはなさそうですね?」


「まぁ…、そうなるね。1次活動だと書類作成は今のところやることはないし、学園祭関係の下準備もある程度できているから今手伝って欲しいことはないかな。う~ん、それに2次はいつ呼ばれるかわからないし」


「すること無いなら帰ってもいいですよね?では僕は帰ります」


「また~、そんな他人行儀なこと言わなくてもいいじゃないか。君の好きな歌舞伎揚げもあるからさ」と清水が巧みに人の要望をそらしにかかってくる。


僕は歌舞伎揚げという自分のHOTワードに思わず浮ついてしまった。

「歌舞伎揚げ!本当?じゃあ!」


 え?うん?それって何かおかしくないか…?

「どうして俺の好きな物知ってるの?」

清水はとぼけて笑い、

「さあ?」

そして、少し間を置いて

「やっと、ため口で話してくれたね」

と穏やかな表情で言った。

「え、いや…、そのー…僕はやっぱり帰ります」

 

 顔が紅潮してくるのが、自分でもわかる。それにこの人、どこまで人の事知ってるんだ?


 出口へ近づこうとすると、ちょうどその時ドアが大きく開かれ田中さんが入ってきた。田中さんは僕が帰ることを察したのか、巧みに僕の進路をブロックし、出口に近づかせない戦法を取ってきた。


「え~まつくん、いっちゃうの~?」

「生徒会でできることも無いし、にじかつもいつあるか分からないから帰るって」

「もうちょっといてよ~、こいつと4月からずっと一緒だけど理屈っぽくてつまんないんだよね~。それにいつも誰かにつっかかっていらない問題ばっか起こすし」


「ほお~、はな棒君、それを言うかね」

「ああ~~!!?なんだって、また言ったなおまえ!第一お前のそういう一言多い性格が原因で2年の役員が全員辞めちゃって1次活動やる役員がいなくなっちゃたんだろ!まつ君が来てくれなかったら2人でどうするつもりだったんだよ!」


「えっ?2人でってどういう意味ですか?」


 僕は思わず素直な疑問を口にした。


「あちゃ~…」

そう言うとバツが悪そうに頭を掻いて無言になった清水がいた。

 

 清水の表情と口元を見る、口が横に広がり気味に真一文字に閉じている。不味い事をこれ以上話さないという決意の表れ、但し肩の下がり具合から、すでに事実が露呈してしまった失意......まあがっかりしてるんですね。


 以上から田中さんが言ったことは全て事実であると思われ、そしてその表情には少し後悔もにじんでいた。


 ちょっと何かおかしな事になってきたぞ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る