第17話 してやったりの笑顔が憎たらしい
「松君、今日は遅かったね。遅いから心配してここで待たせてもらったよ」
う~ん50%位予想通りの展開。僕って本当に待ち人きたらずの超逆だな。
「それは、ご足労おかけしました。」
かなり皮肉ったつもりだったが、相手の作り笑顔に気分が悪くなった。
恐らくイケメンの部類に入ると思うんだけどそんな笑顔は俺には必要ない。と内心思いながら関口に詫びを言って、彼と泣く泣く別れ、生徒会室へと向かった。
僕は放課後が自由にならない事に多少いらついていたので、ちょっとキツメの皮肉で切り出した。
「で、今日は何すればいいの?ジャンキーの世話、それともパンツの配達?」
「ああー、その事聞いたんだ、笑っちゃうよね。近所のコンビニでパンツを買って届けてあげたんだ。制服のズボンも汚れたっていうから俺の貸してやったんだけど、ジャージで帰る羽目になっちゃってさぁ。運動部でもないのにね!ははは!」
「何だか便利屋みたいだな」
「そう言えばそんな感じもするよね。まぁ、便利屋やって大学の学費貰えるなら、安いものだよ」
そう清水は言うとふっと微笑んで、
「そうは思わないか?」
と言いながら男の僕でさえドキっとするような眼差しを向けてきた。
なんで、紅潮するんだ僕は!女じゃないのに......そのあやふやな感情を誤魔化すように昨日あった事で疑問に思った事を聞いてみる。
「あのさ、この二次活動の事他の人に言っちゃいけないって言ってたけど、佐藤先生にも言っちゃダメなの?」
「佐藤先生に相談するのは問題ない、先生は二次活動の指導役も兼ねているから迷ったら相談に乗ってくれるよ。公式に知ってるのは卒業した過去のメンバーと理事長、一部の理事、後事情があって転校した奴くらい。あとは現メンバーの俺、はな棒、そして松くん」
そう言うと清水は一枚の紙を差し出した。そこには参加届けと記載され、『規定する成績で高校を卒業し、大学に合格した場合その卒業までの学費及び生活費を支給する。但しこの活動について口外した場合は返済しなければならない』
と記載されていた。
本当にサインしてもいいのか…。でも今更サインしないとか言って雰囲気悪くなるような感じも嫌だし…。そんな自問自答を、恐らく数十秒ほど頭の中で繰り返した後、僕はしぶしぶサインをして清水に手渡した。
「ありがとう。それと、ようこそ2次活動生徒会へ」
清水はしてやったりの笑顔を浮かべてそう言った。
クソ~、なんかこの満足げなしてやったりの笑顔が憎たらしい…。でも……、心からの笑顔みたいだし、本当に歓迎してくれているのかもしれないな。
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