第16話 先回りされてます
朝のHRは退屈な暇潰しの時間でしかなかった。いつもは寝てやり過ごしたこの時間を、僕はただひたすら昨日あった事を理解する為に当てていた。
二次活動。通称 ”にじかつ” 学校の問題児がやらかす前に未然に防ぐか、事を大きくしないように穏便に済ます生徒会の非公式活動。
薬物の過剰摂取でラリってる奴とか、問題行動起こすやつに生活指導の先生や学校が表だって動けば警察沙汰になる。だから生徒会の風紀委員の肩書で抑えこみ、あくまでも学校内部の問題として処理する。なるほど。学校も上手いことを考えたもんだ。
まあ危ない橋は清水に渡らせとけばいいし何とかなるかな、でも......
――否が応でも昨日見たショッピングセンターの光景を思いだす。
あの永田とかいう3年の腕を掴んだ時少し抵抗された事を思い出すと今でも少しだけ寒気がする。あの時の目の中を中を覗きこんだときを思い出す。
瞳孔が開いたり縮んだりを素早く繰り返していた瞳孔を見たときぞっとした。だから薬とか危ないもんでもやってるんじゃないかと思ったんだけど。
でも......確かに狂った獸みたいで薄気味悪かったけど、泣き叫びたいのを必死に堪えているようにも見えた。何だろう、もう終わった事なのに何かもやもやした感じだけが気持ちの中に残っていった。
そんな事ばかり考えていたせいで、授業もろくに聞いてなかった。考えだけが堂々巡りし、気がついた頃には放課後になっていた。教科書を鞄の中にしまっていると背後からふいに肩を叩かれた。
「松川、この前柿太郎電鉄DX買ったんだけどうちに来ないか?」
声の主は関口だった。
「え?プレステ4のあの新作?いくいく!」
一瞬生徒会の事が頭によぎったがゲームの事も気になるし、生徒会はたまに顔だす位でもまずくは無いだろう。久しぶりに上機嫌になった僕は関口と一緒に下駄箱がある出口までいくと、そこに立っていたのは清水だった。
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