第5話 ゴリラの呼び出し
そんな感じで高校入学からの日々を帰宅部として送っていたわけだが、中間テストが終わった6月の初め僕の高校生活を180度変えてしまうような出来事が起こった。
その日も授業が終わり僕は帰宅の準備をしていると、校内放送がかかり職員室に来るように僕の名前が呼ばれた。
呼ばれるようなことをした記憶はないけれど、少し怖かった。
なんとなく足取りの重さを感じつつ教室を出て職員室へ向かう。
そして僕は、ドアの前で少したたずむ。職員室のドアを恐る恐る開けると生活指導の佐藤先生が何か資料を読んでいた。
佐藤先生、通称サトゴリラ。顔がいつも赤ら顔で怒り顔の人相。こちらも緊張してくる
ただ……僕はこの先生が苦手な理由は先生の怖そうな表情だけではなかった。
授業中いつも生徒を見てない振りして細かく観察している。最初は独身だから女子の事だけ見てるスケベオヤジかと思ったけど、男女の区別なく全ての生徒の一挙手一投足を細かく観察している。
例えばこの前中間テストが帰ってきたけど、その時僕はとてつもない衝撃を受けた。
ただ単に間違った箇所にバツを付けてあるだけでなく、どうしてそのような誤りをしてしまったか、誤った思考をとった原因まで正確に指摘してある。
因みに関口の答案にはこんな事が書いてあった。
”お前がこの作者の気持ちを見誤った原因は、授業中にスマホで塾の勉強をしていたから。
課題内容と混同してしまったんだな"
人間観察が得意な自分と同じ種類の人間のような感じがして、ある種の同族嫌悪かもしれない。
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