第2話 図書委員の理由
僕は小さい時から女性と関わるのが苦手だった。自分でもその原因はだいたい2つだと分かっている。ひとつ目は、父親と母親の不仲である。
物心ついた時からほぼ毎日、僕の父と母は喧嘩ばかりしてきた。原因は父の酒癖の悪さだ。そのため、母の愚痴ばかり聞かされてきた。僕は母を気の毒に思うと同時に、自分が選んだ相手のくせに自分勝手ではないかという怒りもあった。
僕は二人の間に生まれたくて生まれてきたんじゃない。
そんな、どうにもならないむかつく感情が頭をもたげてくるのがすごく嫌になってくるし、気の毒な母の立場を考え必死で、この自分勝手な考えを押し殺してきた。1人っ子だから誰にも相談できなかった。
だから、高校生ともなれば自然とみんな、誰が気になるとか、誰と誰が付き合ってるとか、どこでデートしたとか浮いた話がよく出てくるが、僕はとてもそんな青春を謳歌しようという気持ちにはなれなかった。
この女性への複雑な感情が奥底に居座って、誰かと仮に付き合っても楽しくやれるなんて想像できない。それに、不細工な僕の相手など、誰も相手なんぞしてくれるわけがない......そんな考えがいつのまにか意識にこびり付いて離れなくなってしまった。
そして、二つ目の理由は、子供の時に経験したある出来事が関係していると自分でも思っている。
僕は小学生のとき、図書委員をしていた。図書委員は面倒な雑用係であり、クラスでいじめられていた僕は無理やりその委員をやらされていた。一切の抵抗は許されなかった。
いじめられていた原因はメガネ。小さい頃から視力が0.01の為、度が強いメガネをしてたから付いたあだ名がメガネザル。子供はどこまでも純粋で残酷だ。
その上家庭での重たい雰囲気が顔に出てしまっていたからなのか目つきが悪い、暗い、睨んでいるみたいとクラスメートによく言われた。
そんなせいもあってかクラスメートともあまり話をしなくなり、それが仲間はずれに拍車をかけていく負の連鎖になっていった。
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