必殺技の壊変

・世界の終末や人類の絶滅はもはや暇潰しでしかない。暴力の解放は事故やテロリズムのスペクタクル映画で繰り返し見られるようになっている。商品の形式は単なる口実にすぎないのだろうか。それともこれは自我の解釈であって人間の声に意味を与える方法なのだろうか。神々をカードで召喚すること。

・デュオニュソスの巫女とコンピュータの巫女。殺戮と無関心によってしか祈ることができない。核兵器と神を重ね合わせ自分のカードを信じること。あらゆるものから声が視えるのはあらゆるものから価格が剥がれ落ちて剥き出しの空虚をさらしているからだ。放射能に汚染された人間は食べられない。

・哲学者の密室ではなくハムレットの密室が問題なのだ。もちろん商品だって欲望を閉じ込めているわけだがカードによって声が閉じ込められると必殺技を使わないわけにはいかなくなる。人間を殺すことを声で反復するのは神々への供物になる。ここから核兵器に壊変された人間は人類への帰属を剥奪される。

・哲学はどこから始めてもよいが最低限の礼儀として完全に間違っているところから出発しなくてはならない。しかしハムレットの場合はどこにいっても始めようがないので取り合えず模倣してみなくてはならない。商品は生産されてから売られるまでを消費者の神託の宿命に身を預けている。

・アニメ「サイコパス」のシビュラシステムにおけるドミネイターのアナウンスは照準を定めて標的を排除することで社会システムの安定化を図っている。この場合人間はただの人形であって彼らが人間を殺すことにはいかなる意味も伴わない。牧島が主張しているのはまさにこの事だ。だから必殺技がいるのだ。

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