哲学への必殺宣言
・学問研究は何のためにあるのか。それは学問研究を続けることにある。これは経済がどのように安全に資産を管理できるかから出発して所有権は安全でなければならないという結論を導きだしたのに似ている。カントがもし学者たちに実際に理解されたら学問はヘーゲルのように宗教にするしかないのである。
・あるものが所有されることに価値があるのはなぜなのか。使用するため、交換するため、破壊する(享楽する)ため。但しこれがうまくいくには人間の生活が消費活動であると見なされる必要がある。そうでないと貨幣が交換価値として普遍的になることはできないのである。
・人間は自分が生産した道具を必ずしも売りにださなければならないわけではない。しかしむしろ人間は生産的でなければならないわけではないということこそ重要なのである。実際あらゆる職業が生産性のために行われるようになったのは情報生産と消費がメディアによって両立するようになってからである。
・これをもっと簡単に言うとこうなる。人はパン屋をやっているからパン屋なのであって、パン屋で生活の糧を稼いでいるからパン屋であるわけではないのだ。借金を踏み倒す以外の選択肢として人間を一般的な労働力として扱うこと。これはなぜ近代において奴隷が許されないのかのかの理由である。
・そもそも人間の労働に対価を払う必要などない。しかしこれでは人によって態度は様々であって効率的にはならない。分け前の問題は歴史記述そのものになるほど厄介なのである。各人に同一の対価を平等に約束するなら同一性を計量するための貨幣が必要である。しかしそれで各人が同じ労力を使う保証はない
・仮に各人の労力を公正に判断する方法があるとしよう。それで同一の貨幣を渡した場合貨幣の価値は無である。では人間同士の能力の差異で計算をやり直すべきなのか。この場合貨幣とは別の評価が必要だがそうすると労力を公正に判断するというのは単なる口実になってしまう。
・ではこの不平等を是正するための社会的保障を与えるというのはどうか。貧乏人とは貨幣における公正な評価において価値の低い人々を指すわけだが、もしそうなら福祉は貧乏人に貧乏人であり続けるために保障を与えるのだということになる。ちなみ事業者の失敗の保障はいつでも公共政策なので問題はない。
・知的財産とは何か。まったくわからない。なぜならもし私が知的財産を理解したら知的財産の知的財産は失われるからである。私は詭弁を弄しているのではない。試しに現在の世の中でどうして気のきいた本というものがないのか想像してみればいい。言論の多様性は商品生産に絶対に必要である。
・問題は人間が芸術の大量生産によって決して満足することがなかったということにある。自分で自分のための芸術を創ることができるようになったというのは産業社会における貴重な勝利の一つだが、それでさえ今やまったく大したことだとは思われなくなっている。才能ではなくて意味が欠けているのだ。
・哲学はそれがいかに明晰であろうとそれ自体ではまったく無力であるという弱点がある。それは人を慰めることができずただ説明をするだけにすぎない。ある意味では思考の特権を保持しているだけだとすらいえるだろう。思考から錯乱を導きだすには音楽の方がいいのはわかってもわかっているだけではある。
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