異世界ファンタジーへの必殺宣言

・顔から声がするものは人間だとは限らないということから出発して貨幣に交換可能な声の機能を付与し、声が神々の所有物となったことから声をカードでイラストにして名前をデータベースとして使用することで子供を神々の生産物としてみなして社会人の価値を転倒する。これで何をいったことになるのか。

・西洋的普遍性は民族絶滅を人類の普遍性として救済することで隣人愛の世界を資本によってグローバルにした。これはオイディプスの系譜であり、すべては父母と子の関係性に基づいて人類は皆兄弟になっている。だからこそアンティゴネーの系譜は悲劇になってしまう。

・神々と核兵器の結婚が原発事故によって成就したカードゲームではキャラクターとプレイヤーは兄妹として重ね合わされる。成長と選別の回帰ではなく誕生と滅亡の反復が楽器の声によって調律される。したがって起源的な歴史調査ではなく民俗学的な構造分析が伝言ゲームによって呪文の響きを持つ。

・異世界ファンタジーは原初の母の豊穣さと父娘の近親相姦によって子孫による支配者への復讐を繰り返す。魔王の復活は神々の黄昏とともに始まり伝説の勇者が呪われた少女を救済することによって調和のための争乱に終止符を打つ。ただしこれは機械が導入され勇者と魔王が共犯関係になるまでの話である。

・異世界ファンタジーの近代化は呪われた少女を魔女にして大量破壊兵器の生産体系を確立し原初の母をマッドサイエンティストにして怪物を創造するという喜びを与える。一方で父親は悲劇の経験からロボットを人形として少女化させる研究が能力の人体実験で行われる。これこそが魔法少女誕生の歴史である。

・父母を大量生産するには永遠の生命が貨幣によって資本になるか輪廻転生が商品化されるかしなければならない。だから発明が行き詰まると別世界から特殊能力を餌にして人間を輸入しなければならない。人格交換のネットワークと時間のループは少女の文法を混乱させ父親を始祖とした動物の快楽を得る。

・少女の魔法を解くためにはどうしたらよいのか。これは電気の使用価値とは何かということである。家電製品のターンが終了しつつあるということ。代用エネルギーの主張は電力が火力や労働力よりも使い勝手がいいという重要な事実を無視している。だからこそ楽器は独立した地位を持っているのだ。

・楽器が声をカードで召喚するにはヴァーチャルアイドルをチップデータでウイルスバスティングをシミュレートするネットナビであると見なす必要がある。この必要性が消滅したのはipodとスマートフォンで音楽と声がクラウドのアプリとして可視化されて持ち運びができるようになったからである。

・だが意識が何らかの宇宙的存在に占領されるという感染の恐怖は残る。だから意識を電波変換し狂気を純化することで可視化された声のデータベースを特定の攻略パターンに基づいて人格をトレースする。これが何の媒介もなしに行われるのは危険だから意識と重ね合わされた症候のカードが生産される。

・階級闘争のゲーム化。異世界ファンタジーと幻想郷は決定的に対立すること。したがって物語生産を雇用関係に置換するだけで問題のカードゲームが実践される。つまり東方のキャラが異世界ファンタジーのTRPGをゆっくりボイスで実況するのは限りなく解答に近いのだ。後は人狼ゲームを組み込めばいい。

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