第5話 アメリカンヒーロー


※昭和テイストにあふれてますので、ネタがわかんない場合はぐぐってみましょう!


特撮映画監督と助監督が次期映画「アメリカンヒーロー」の出演者のオーディションをしている。


監督 「なかなかいいのがいないな」

助監督「そうですね。次の方どうぞ!」

ドアをあけて入ってきた怪しい全身タイツの男。なんと、左腕がドリルだ。

男A 「初めまして! ドリドリ~」

監督 「いるね~こういうの。アメリカンコミックに多いね」

助監督「片手があからさまに武器のやつですね」

監督 「すまんが、ありがちなキャラは間に合っているのでお引取り下さい」

男がすごすご引き下がる。

助監督「『コブラ』とかもある意味、こういうののパロディですよね」

監督 「そうはいいつつ『ゲッターロボ』とかでもやってたからな。あれもパロディなのかもな。でも、ドリドリ~はないだろ」

助監督「まあ、『宇宙忍者ゴームズ』の岩みたいなやつなんて、決め台詞が『ムッシュムラムラ~』ですからね。いまだに、ダチョウ倶楽部がマネするほど当時の少年達の心にトラウマを残してますよ」

監督 「そういや、『宇宙怪人ゴースト』に出てきた敵の『クモスケ』は『クモ~スケ~』しか言わなかったような。アメリカンなヒーローや怪人は変なセリフを繰り返す印象あるな。『コ~ブラ~』(コブラコマンダーのセリフ。G.I.ジョーの敵ね)とか」

助監督「あんなのいくらなんでも、アメリカのオリジナルにはないんじゃないのかな(推定)。よく昔の海外に輸出された日本のアニメが改変されちゃっててひどい、なんて話聞くけど、日本もなかなかひどいですな……では気をとりなおして、次の方どうぞ!」

次の男はやはり黒っぽい全身タイツ、そしてなんと、部屋に四つんばいで入ってきた。

二人の前に来ると、不思議な手振りを行ったり、首をさかんにかしげてみたり。

監督 「こういうのなんかで見たな。実写版『スパイダーマン』(日本版の巨大ロボットでてきちゃうヤツ)かな」

助監督「すみません、そのジェスチャー何ですか??」

男B 「私はニューヒーロー、フライマンです!」

監督 「要は『ハエ男』か。……おのれは、おとなしく物質電送機にでも入っとれ~い!!」

助監督「すみませんが、ホラー映画じゃないんで。お引取りください」

男Bは、なおもしつこく自分の頭を撫で回したり、両手をこすりあわせたり、謎のアピールを繰り返したがむなしく部屋から追い出される。

監督 「あのキャラじゃ無理だっつってんのにアピールやめないのな。アメリカ人ってハートが強すぎ。空気読まないっていうか。ところで何でみんな全身タイツなんだろ。もっこりしちゃってキモいじゃん!」

助監督「まさに『ハエ男の恐怖』ですね……では、次の方どうぞ!」

今度は半裸の黒人男性が入って来た。なにやら叫んでいるが、英語ではない聞きなれない言語だ。なぜか両手が鎖で結ばれている。

監督 「うわ~、これじゃマゾ……じゃなくてもとい、アフリカンヒーローだろ!!」

男C 「クンタ・キンテ~!!!」

監督 「うわ~、一転して訂正! やっぱアメリカンヒーローだった!!」

助監督「……しかしすみませんがこれ、特撮映画のオーディションなんで自分の先祖さがしをする話の方はお帰りください」

男Cは両ひざをついて鎖でしばられた腕を振り上げ、『ルーツ』!!などと決めゼリフを言って逃げ回る。

監督 「え~い! さっさとつまみ出せ!!」

疲労が目立つ二人。

監督 「『ルーツ』っていえば、缶コーヒーのブランドにあったな。あれだって『クンタ・キンテ』がいなかったら、あんな名前じゃないよな。今だに地味にわれわれの生活に影響を与えているな。しかし、まともなヒーローこないんか?」

助監督「次のは実力派のようですが……お入りください!」

入って来たのは人間ではなかった。二足歩行するのだが、なんか大きな耳と尻尾があるし、まさかネズ……と思った瞬間、しゃべりだした。

謎生物「こんにちは~、僕、ミッ…」

監督 「う、うわ~~!!! や、やめさせろ!!」

助監督「や、やめて! ぜ、全員ヤツらに消されち……」


その後、監督、助監督を見た物はいない。




追記

やっぱ一番強いのは、自分は『ライオンキング』なんて思い切り怪しいの作っときながら、他者のパクリは微塵も許さないディズニ……おや、こんな時間に誰かきたようだ!?

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