第3話 ピヨと俺

親父と祭りに行ったとき、親父にねだって『カラーヒヨコ』を買った。

『ピヨ』と名づけ飼っているうちに色が抜け、実はただのヒヨコだった。

売り子のおっさんは

「卵たくさん産むよ~」

と言ってたので期待していたのだが、トサカが生えてきた。

「なんだ、雄鶏か……」

俺はがっかりしたが、ふと思いついたのでピヨに向かってしゃべりかけた。

「おはよう」「コケッ?」

「おはよう!」「コケコケッ」

いや、インコやオウム、九官鳥やカラスにいたるまで、『おはよう』くらいしゃべる鳥はいる。ニワトリにしゃべれない道理はあるまいと思ったのだ。

「おはよう、おはよう、おっはよう!!」

俺は来る日も来る日も逃げ回るピヨを追いかけ、話しかけた。すると、多少の変化が見えてきた。

「おはよう」「コッケヨウ…」

そして、半年後。

「おはよう!」「オケッヨウ!」

む、もうちょっとだ。

そして一年後のある日。

「おはよう」

「……オケ、オッハヨウ、オハヨウ!」

「ピヨ!言えたじゃないか!!」

「コケッ!オハヨウ!オハヨウ!」

俺達は抱き合って泣いた。


その当日、俺が学校から帰ってくると、ピヨはいなかった。

居間に入ると、親父がトリ鍋を煮ていた。

「もう、そろそろ食べごろだと思ってな。しめたんだ。」

「ピヨ、なんかいってなかった?」

「そうだな、変な鳴き方してたな。『コケヨウ!』とか。最近のニワトリは変な鳴き方するんだな」

俺はせめてもの供養にと思い、鍋を食べた。

とてもうまかった。


◆◆◆


よくあるパターン(アメリカンジョークでオウムバージョンの聞いた事あります。)の話ですが私が書くとこうなります。

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