第39話 涙の再開

「すぅー・・・ふー・・・、すぅー・・・ふー・・・。」

「・・・・・・。」

「すぅー・・・ふっ。」

「もが!? ごふっ! な、なんだ!?」

「おお! 良かった気が付かれましたか、レナード王様!」

「貴様! いったい何を!」

「何って・・・人工呼吸でございますが?」


 ちなみにやっていたのは門番の犬耳おっさんである。


 おっさんがおっさんに人工呼吸してる光景とかただの地獄絵図にしか見えないな。やられた本人はもっと地獄だったみたいだが。


「うぉぉぉおおおおええええええええええ!!!! 」


って、うわ吐き始めたちゃったよ。

 そしてやった方が嬉しそうなのも気にかかる、街の入口にいたやつといい、この世界の門番たちはホ○ばかりなのだろうか。


 ひとしきり吐いた王様は、今度はさみしげな目をエルと凛とした感じの美女(王様の秘書だそうだ)に向けてきた。


「ご、ごめんなさいお父様、その門番が自分がやるときかなくて。」


 うん、あの門番の勢いと言ったらなかった。エルが立候補する暇もなく「俺がやります! やらせてください!」といって王様の唇にむしゃぶりついていったっけ。


「レナード王様、意識が戻られたのなら早く勇者様にご挨拶なさいませ。」


 冷た! あんた王様の秘書だろうに。


「うっ・・・うっ・・・勇者殿・・・、娘を救ってくださり感謝いたす・・・うっ・・・。」

「ひっ・・・ひっ・・・レナード王、こちらこそ・・・王直々の出迎え、感謝の念に堪えない・・・ひっ・・・。」


 泣きながら対面する勇者と王様。

 悲しい・・・、俺こんな悲惨な謁見の場面初めて見るよ。


「レ、レナード王殿? 勇者様? そのー、積もる話はとりあえず後にしまして、とりあえず私の屋敷まで行きませぬか? ここだと落ち着かないでしょう。」


 二人の様子を見かねてか、恐る恐る小太りの男が場を変えようと提案してきた。勇者がここにいることを知っていたこの男は何者なのだろうか?


「そうですね、では領主様のご厚意にに甘えさせていただきます。レナード王様、まいりましょう。」

「う、うむ。」


 ああ、ここの領主だったのか、じゃあ王様やら勇者やらを前にして緊張しないわけないわな。

 その領主の提案を王様の代わりに秘書が答えてしまい、王様は秘書に手を引かれ引率されていった・・・、こんなんでいいのだろうか。


「では儂らも向かおうとするか、勇者殿いつまで泣いておる、まいるぞ。儂は早く飯が食いたいのだ。」

「うん。」


 マドカが王様に続いて茂の手を引き引率していった、この王様と茂はいい友達になれそうだ。

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