プロローグ 其の2 砂漠にて・・・

 とある国、とある砂漠・・そこは昼は40度を超す猛暑、夜は氷点下まで冷えるおよそ生命が活動するのにおよそ適さない厳しい環境である。しかし、その環境の中でも例外はある、例えば日中は地面の中で生活し、夜になると出てくる者、そもそもこの環境に順応してしまった者。


 または、わずかばかりに残った生命維持のできる最適な環境を見つけその場所で暮らす者である。この場所も例外ではなく、厳しい環境の中気丈に生きる生き物たちがいる。


そんな中、その洞窟で新たな生命が生まれた。本能とも呼べぬようなわずかな知性しか持たない「それ」は周りの生き物たちをどん欲に吸収していった。


 幸いにもこの洞窟は外の厳しい環境から逃げてきた生き物たちが多く生息しているため食べる物には事欠かない場所である、いや、「それ」にとっては「食べる」というより「吸収」といった方が適切かもしれない。


 栄養源となる生き物に触れてはその身体へと取り込み吸収しているのだ。


 (暗い・・・死んでしまう・・・上へ・・上へ行かねば・・・)周りの生き物たちを食いつくしていくうちに、わずかに芽生えた一つの意思を頼りに「それ」は数百年もの歳月をかけて巨大になった体をうねらせながらゆっくりと地上へ向かって進んでいくのだった。

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