間章 科学者の手記 2

間章 科学者の手記 2

 大事な人が亡くなった。

 だが、まだ希望が残っている。だから歩みをとめるわけにはいかない。

 これから行うのは倫理に反するような行いだ。

 悪逆非道と罵られても仕方ない……だが、それでも行わなければ……


 研究員たちの発症が相次いでいる。百匹目の猿の話が本当になってしまったようだ。

 一定の数を超えることで、事象は爆発的に広がる……なにも知らない人間までも……

 最後の希望だけを頼りに、なんとか延命を行わなければ。

 夜明けの日に、人が全て人でなくなっていることがあってはならない。

 百匹目の猿の現象に、彼らが巻き込まれていない可能性はないわけではない。

 いざと言う時のために、我々がいるのだから……どうにかしなければ……


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