第3話 おやすみ世界
「ねーちゃんただいま!!」
家に帰ると、いつもは今にいるはずの姉の姿がなかった。自分が学校にいる間は自室にこもっているらしい。また腹でも出して寝ていないだろうか。
「ねーちゃん?」
無粋だとは思うが、勝手に姉の自室の這入る。散乱した原稿用紙の山に埋もれた姉が、床に置かれた文机に突っ伏し、くうくうと寝息を立てていた。古風ながら未だ使っている万年筆のインクで汚れた顔を拭いてあげて、肩に毛布をかける。
「ねーちゃん、こんなの書いてたんだな」
そう呟いて、部屋をあとにする。
「お疲れねーちゃん。あとはゆっくりおやすみ」
ストレーガの憂鬱 六平彩 @aniichi
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