第7話

「両手に花を選んだのか」

 きょとん、とした新聞部の後藤部長の横には、美術部の佐屋部長。どちらも事件の顛末を聞きたがっていたので、昼休みに二人を呼び出して話し終えた所だった。しかし両手に花って、了祐みたいなのはこんにゃくとかラフレシアの類だと思うんだが。しかし、茅ケ崎が恋愛ねえ、と息を吐いたのは佐屋先輩だった。

「昔から顔は整ってるけど態度が奇矯だから悪戯に告白されてるのしか聞いた事ないし、本人が誰かに懸想する、って言う事もなかったから、結構意外だったわ。あなた、鵜住君、人に言える特技はある?」

「目を閉じたら五秒で寝れます」

「そう答える所が、気に入ったんでしょうね」

 くすくす笑って納得されてしまった。

「ともあれ事件は事件だからな、お前に言われた通り粟野は新聞部から除名する。しかし、どうするつもりだ? あんなすこぶる付きを歓迎してくれる部なんてあるまい。光画部にもお前が手を回した形になってしまったし」

「ああ、それなら大丈夫です、丁度良い場所があるので」

「「丁度良い場所?」」


 声を揃えた幼馴染の部長達に俺がそれを告げると――二人は購買のパンを握りしめて笑いを堪えた。

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