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「アクエリア」
豪奢な装飾が施された城の広間に、1人の若い男の亡骸が転がっていた。
その男のそばには、美しい金色の髪をした少女がおり、膝をついて空を仰いでいる。どこか夢見心地な目つきをしていたが、しばらくして辺りの様子に気付き、少し戸惑ったような表情を浮かべた。
「アクエリア」
少女は声のする方を見た。黒い髪で、髪と同じぐらい黒い、高い襟のドレスを着た美しい女性がいた。
「アクエリア、私が誰か分からないの?」
女性は、戸惑いと怒りが混ざり合ったような表情を浮かべていた。それが一層彼女の冷たい美しさを引き立たせていた。
「綺麗な方ね…」
「見てられないわ…」
女性は思わず顔を背け、全身を震わせていた。少女は、女性の美しい姿が見れなくなったのを、残念に思っているようだった。
彼女は、目線を床の上で横たわっている若い男に向けた。
「綺麗な人ね…。死んでるの?」
「そうだよ、アクエリア」体を持たない声が、少女の後ろでそう言った。
「さあ、私たちは帰らねばならん」
ブルーミー 糸原アキラ @danekun
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