第弐話 ヘタレ飯綱使い
一.
玉泉高校に通う
『遠足で山に行ったときにいたわよ』
『そうそう、山には結構いるのよねー』
という答えが帰って来たので、一人で近くの山に行き、遭難しかけた為に両親からこっぴどく叱られた、などということもあった。そうして結局パートナーを見つけられないまま、16年経ってしまった。そして、彼の名である〝太権〟は一族が信仰する〝飯綱権現〟から一部を頂戴したものであり、太権自身も〝名前負けしている〟と痛感している。昔から友人たちにもいじられてきた。更に最近、彼が抱えるプレッシャーを大きくしてしまう出来事があった。姉二人の言葉である。
『あんたまだ管狐見つけてないのー? あたしの貸してあげようか?』
『ぷっ、何言ってんの! ダメに決まってんじゃん。でもあんたが跡継ぎで本当、心配だわー』
「…あの女ども、今の彼氏に元彼の物品晒してやろうか…!」
怒りのままに太権は思わず独り言を吐き捨てた。姉だけでなく両親にも本気で心配されており、学校へ向かう足も重くなる。だが、そんな気分をあっさりと吹き飛ばしてくれる出来事が、この後に起こるのであった。
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