原子力発電所アイドル宣言
音のスペクトル分析によって弱々しくなったメロディーをゲーム音楽は機械音の再生によって救済したが、かわりに音楽が騒音と自然音という幽霊と妖精に分解してしまった。始源のビートまで楽器自身が演奏しなければならないというのなら、後はとにかく叫びまくることが残っているだけであり、音楽の純化は人間の心には耐えられない。心と音楽の区別がつかなくなるからだ。音楽の誕生は身体の震えを声や楽器を媒介にして演奏することにある。だから指揮者というものがたとえ神々であろうと必要なのだ。だがリズムの自律はいかにして行われるのか。プロデュースされたアイドルは欲望の対象を歌声に転移させる役割を引き受けているのだとしても、彼(彼女)達のための音楽というものは誕生を望んでいるままである。囁きをエンコードするには幻想の交流を機械で録音するだけでは足りないのであり、身体を媒介にした衝動の反復が言葉で命令されなくてはならない。風鈴神社はこのための神楽や短歌を詠み上げるための場所を提供するのである。ではどのような囁きが歌われればよいのか。我々にはとっておきのものがある。地震による津波で引き起こされた原発事故の放射能を演舞のリズムで身体に刻むという歌が。アイドルとはまさに原子力発電所のことなのだ。
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