届けたい
赤羽
第1話 雨の日に
「何でこうなるんだよー!」
狭い控え室に僕の叫び声が響いた。
「まぁまぁ落ち着けよ」
「悠也さんには分かんないですよ!晴れ男の悠也さんには!」
「確かに分かんねえけどさあ……ここまでくると正真正銘の雨男だよな光って」
僕は今日ライブをするためにとある場所に来ていた。なのに天気はあいにくの雨……。
晴れ男の悠也さんや他の友人達にまで雨男といわれる始末。
「いい加減晴れて欲しいんだけどなー」
「はいはいそうですね。で、ライブはどうなるの?」
「前と同じで対応だけですよ」
「そりゃあ残念。
じゃあ対応頑張れよ」
そう言って悠也さんは控え室を出ていった。
会場にはたくさんのお客さん。
朝から雨が降っていて中止なのが分かっていてもこんなにもたくさんの人が来てくれた。
お礼だけでも言いたい。
そう思って、マイクをもって、僕はステージへ向かった。
「皆さんこんにちは、光です。
今日は雨で中止なのに来て下さってありがとうございます。
そして、ライブの中止本当にごめんなさい。
お詫びとして、来てくださった方全員と握手等の対応をさせて頂きます。今日はご来場ありがとうございました。そして、ライブの中止本当にごめんなさい。」
(……ダメだなぁ)
今物凄くこの気持ちを言葉にしたい。
僕はマイクを使わずに叫んだ。
「ライブしたかったー!」
会場に笑いが起こった。
そんな中に不思議な光景を見つけた。
メモ帳に何かを書いて隣の人に見せている。
それは、僕が生きてきた中で初めて目にした光景だった。
届けたい 赤羽 @akahane
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