この作品、何で今まで誰もレビューせぇへんかったん?
書き手ユーザーって、公式のプロ作品、読まへんやんな。
ほんまオモロイし、メッチャ勉強になるのに勿体ないわ。
紙の書籍がWebでタダで読めるねんで? 読まな損やん!
と、あおるのはこのくらいにして、本題を。
霊感体質の未涼は、大阪堺市の商店街で雑貨屋を営む傍ら、
幽霊から依頼を受け、冥途の土産となる品を墓に供える、
という「おみおくり」の仕事に就いて生計を立てている。
居候のグータラ探偵、翠川は困った男だが、たまーに頼しい。
1話目では、太陽の塔が大好きな青年幽霊のために、
万博公園を散策したり捜索したりと、一肌脱ぐ。
2話目では、恋する淑女幽霊のために梅田の迷宮へ。
読書家のイケメンをつけ回して、書店巡りに繰り出す。
3話目では、大阪城公園のモフモフわんこ幽霊と、
彼の飼い主のおばあちゃんとの切ない別れを見守る。
読み切り型の人情話の短編連作で、優しい読後感が心地よい。
しょーもない翠川とまじめな未涼の会話は最初から楽しいが、
次第にボケとツッコミが機能し出すあたりの雰囲気に笑った。
そう、あの関西弁の会話のテンポには引っ張られてしまうんだ。
大阪には少し土地勘があるし、関西の文化にも馴染みがある。
仲介人さんの虎のお面とか、太陽の塔の不思議な威圧感とか、
梅田の人混みの歩く速さとか、ライヴ前に迷った大阪城界隈とか、
たこパやったよなーとか、懐かしさがちりばめられた作品だった。