第8話 大阪城とおばあちゃんとモフモフ犬 その2
大阪城が眼前に聳える場所で、私たちは自己紹介し合った。
おばあさんの名前は
白吉は一ヶ月ほど前に亡くなったそうだ。
サモエドの幽霊がいると聞いた小松さんは嬉し泣きして、今はすっかり笑顔になっている。
小松さんは身を乗り出すようにして私に尋ねてきた。
「亡くなったとき、白吉はぐったりしていたんやけど、今は元気にしてます?」
「えっと」
私は白吉の方へを目を向けた。
飼い主が生気を取り戻してくれたからだろう、白吉は綿菓子のような尻尾を嬉しそうにフリフリしている。
口を開けて、長い舌を出して、いわゆるサモエドスマイルの状態になっている。
感情を受けて私も愉しくなりながら「はいっ」と答える。
「元気ですよ。小松さんを見て喜んでいます」
「そう、それは良かったわぁ」
小松さんは何度も頷いて、「良かったわぁ」と繰り返した。
仲介人さんはというと、モフモフの毛を「気持ち良いなぁ」と撫で続けている。
「…………」
この人はどうして、犬が視えることを普通に伝えても大丈夫だろうと予想できたのだろうか? なんとなく、私も理由が判っているような気もするのだけれど、具体的に言い表すことができなくてもどかしい。
この仕事が終わった後で訊いてみよう。今は後回しだ。
という風に考えていると、小松さんに名前を呼ばれた。
「
「はい?」
「念のために確認してもらいたいのだけど……」
「なんでしょう?」
小松さんは大きなバッグではなくて、肩に提げている小さな鞄から一枚の写真を取り出した。大阪城を背景にして、小松さんと白吉、それから一人のおじいさんが写っている。
「視えているのは、ここに写っている犬で間違いない?」
私は幽霊のサモエドと写真とを何度か見比べてから答えた。
「はい、間違いないと思います」
とは言うものの、サモエドに詳しいわけではないので、携えている御供え物を見て、好きなペットフードについて訊いてみた。すると小松さんは「どうして判ったの?」と、目を丸くしながら嬉しそうにした。
うん、小松さんの飼っていた白吉だ。
写真を見た翠川さんが質問した。
「このおじいちゃんは誰なんです?」
小松さんは優しく微笑みながら、快く教えてくれた。
「この人はわたしの夫ですよ。三年前に亡くなったんだけどね」
「そうでしたか……」
私と翠川さんはお悔やみを伝えた。小松さんは「おおきに」と頷いた。
小松さんは、旦那さんと白吉と一緒に暮らしていた。しかし、旦那さんに先立たれて、そしてひと月前には愛犬も亡くなってしまった。
「それは、寂しいでしょうね」
「そうやねぇ。よくここで散歩してたんやけどねぇ……」
飼い主が悲しそうな表情になると、白吉はまた不安そうな声で鳴いた。
「でも、あなたたちが来てくれはって、白吉が見守ってくれていることを知らせてくれて、気分が晴れましたよ。ありがとうねぇ」
「いえいえ。こちらこそ、私の霊感を信じて頂いて光栄というか、なんというか」
素直に感謝されて、私はちょっとしどろもどろになってしまった。
「
「うっ……」
だって、こんなにすんなり受け入れてくれる人、めったにいないですもんっ。
小松さんが「ふふっ」と笑った。
小松さんのリクエストに応じて白吉の座っている位置、頭の場所などを教えた。小松さんは目を閉じて、「よしよし」と愛犬を撫でた。その感触は伝わってはいないだろうけれど、白吉は心地よさそうに目を閉じた。利口なのだなぁと思う。
それから、私は本題に入った。
御供え物はちゃんと相手に届くのだということを説明し、白吉のために、飼い主の匂いを感じられるような物を供えて欲しいのだと話した。
「そうすれば、白吉も安心して成仏できると思うんです」
「安心して、成仏ですか……」
小松さんは話を聞いて、私からスッと目を逸らした。
私はなんとなく、その態度がちょっと気になった。
「どうされました?」
「あ、えぇ、不思議なお話やなぁと思ってたんですよ」
「そうですよね。非現実的ですよね」
翠川さんは地面にしゃがんで、「この辺か?」と呟きながら白吉を撫でようと試みている。そこには残念ながら空気しかありませんよと思ったが、面白いので黙っておいた。
「私が普段から使っている物を御供え、そうやねぇ……。でしたら、膝掛けなどにしましょうか。それから」
小松さんは遠慮するような笑みを浮かべて、足元に置いている大きなバッグに触れた。
「わたしの匂いが付いているわけでもないんやけど、あれも贈ろうかしら」
「あれ、ですか?」
小松さんがバッグを持って立ち上がると、白吉もシュタッと四本足で立った。
どうやら、愛犬にはなんのことか判っているらしい。
◇
大阪城天守閣を回り込むようにしてその北側へと歩き、坂を下っていく。
下りたところは広場になっていて、そこには色々なサイズの石がゴロゴロと置かれている。なにも知らずに見るとただの不可解な場所だが、もちろん意味がある。
これらの石は、徳川幕府が大阪城の石垣を築くために各地から集めたもの。それぞれに提供した大名の刻印がなされているのだ。……と翠川さんが教えてくれた。
近くには「豊臣秀頼 淀殿ら自刃の地」と刻まれた石碑もある。
広場を通り過ぎて、内堀の上に架かる極楽橋を渡った。
そのまま真っすぐ歩いて、階段を上がる。そこは大阪城の北に位置していて、なんと言えばいいのだろう、外堀の上部にあたる場所だ。階段にはちらほらと人が座っているけれど、あまり人はいない。
「ここからやと、天守閣がええ具合に見えるんですよ」
小松さんにそう言われて後ろを振り返った私は、「なるほどー」と得心する。
さっき渡ってきた極楽橋と本丸を囲む長大な石垣、そして天守閣が上手く見渡せるようになっている。木が生い茂って日陰にもなっているベストなポジションだ。
小松さんはバッグから折りたたみ式の小さな椅子や画材を取り出し、せっせと準備を始めた。
小松さんは水彩画を趣味にしていて、大阪城公園にやって来てはよく絵を描いていたそうだ。今日も気晴らしのために道具を持ってきていたのだけれど、そういう気分にはなれずにいたとのこと。
今から白吉に贈る作品を描くという。
「犬に絵が判るんかいなぁ」
「翠川さん、無粋なことを言わないで下さいっ」
小松さんは微笑むだけで気にしないでいてくれた。
準備を整えた小松さんが椅子に座ると、白吉はその足元で丸くなった。
「お二人は、もう帰られますか? 時間が掛かりますし、御供えはわたしだけで行なえますから……」
そう言えばそうかと思ったけれど、犬の様子を視ることができるのは私だけなのだから、このまま帰るわけにもいかないなと結論する。
「お気になさらず。のんびり待っていますよ」
小松さんと白吉をしっかり見守ろう。
「そうやな。うむ、俺は寝とくわぁ」
翠川さんの突然の申し出に私はビックリする。
「え、寝るって、ここでですか?」
「済んだら教えてなー」
そう言って翠川さんは、階段ではない箇所の、傾斜になっている芝生の上にごろんと寝転んで本当に眠ってしまった。河川敷に寝転ぶかのようなその姿はどこか青春だった。
小松さんは可笑しそうに笑った。白吉はチラリと目を開けて、すぐに閉じた。
仲介人さんは肩を竦めてから、私に訊いた。
「未涼さんは、どうします?」
「そうですねぇ」
私はちょっとだけ考えてから、仲介人さんに言った。
「一緒に園内を散歩しませんか?」
◇
私と仲介人さんは内堀沿いに歩いていき、梅林と記されている道に入っていった。
今は六月なのでもちろん梅は咲いていないが、木々の緑に囲まれており気持ち良い。
仲介人さんがゆらりと隣を歩く。
「未涼さんがおみおくり商店で働き始めて、二ヶ月半になりますね」
「あっという間でしたが、内容の濃い日々でしたよ」
「それは大変だったという意味でしょうか? それとも充実していたという意味?」
「両方ですねー」
仲介人さんがお面をこちらに向ける。
「商店での仕事は、続けられますか?」
顔は見えないけれど、期待と不安が少しずつ伝わってくる。
私はその感情を受けて、こそばゆいような気分になった。
「はい。続けるつもりですよ」
仲介人さんは頷いた。さっきまでの感情に代わって、温かな気持ちが伝わってくる。
「ありがとうございます。それは、なによりです」
ウォーキングをしている男性が私たちの横を通り過ぎていった。
「あのう、仲介人さん」
「はい?」
私は前から気になっていたことを質問した。
「そのお面って、ずっと着けてるんですか……?」
仲介人さんは小さな手で虎のお面に触れた。
「そうですよ。お気に入りですので。痒くなったらたまに外してますけどね」
「はははっ、ですよね」
「あははっ」
「…………」
仲介人さんと初めて出会ったとき、彼は自分から「趣味で被ってます」と説明した。訊いていないのに。まるで、質問を受け付けるつもりはありませんよと言うように。
そのことがあったから、今日も追及しづらい。
趣味だとしてもそこまで頑なにお面を被り続ける理由とはなんなのか?
そして、どんな顔をしているのか……。
とても気になる。
仲介人さんについて知りたいという好奇心もある。それと同時に、彷徨う死者のために働く者として、この人のことを理解しておきたという想いもある。
が、やはりどうにも、深く尋ねるのは気が引けるのだった。
そういうわけで、私は次にこう質問してみた。
「そのお面には、想い入れがあるんでしょうね」
仲介人さんは「ええ」と頷いた。
「僕はそこまで熱烈に猛虎主義というわけではないのですが、野球観戦は好きですね。初めて甲子園球場に試合を観に行った日、新庄選手がホームランを打ったのを良く覚えています。あれは、格好良かったですねぇ。新庄選手は判ります?」
「判ります判ります」
私は返事をしてから、話を進める。
「そのときにお面を買ったんですか?」
「いえ、違いますね」
「あれ、違うんですか?」
「これはお祭りの屋台で買ったものですよ」
「ふむふむ。じゃあ、そこでなにかしらトラブルがあったりしたんですね。せっかく買ったお面をいじめっ子に取られたとか、取り合いになったとか、そういう想い入れが……」
仲介人さんは苦笑いしたようである。
「すみません、そういうのはないですね。普通に買えましたから」
私は疑問を抱きながら、仲介人さんのお面を見る。
「それじゃあ、どういう風に想い入れがあるんですか?」
少年の姿をした幽霊は顔を前に向けて、こう口にした。
「未涼さんは、難しく考える癖がありますよね」
「そ、そうですか……?」
仲介人さんは肩越しに、背負っている御供え物たちを見て言った。
「生前に大切にしていた物だから、遺族が心を込めて作ってくれた料理だから、そういう理由で供えられた品物を大事にする、そういう場合も当然あるでしょう。
ですが、特別な事情がなかったとしても、御供え物というのはすべて、供えられた人にとって想い入れのある品物になるんじゃないですかね。
なぜなら、贈られた品々はどれも、誰かが自分のことを想って供えてくれた物だからです。少なくとも僕は、これら全部が宝物だと捉えていますよ」
「…………」
私は無意識に立ち止まっていた。
仲介人さんの意見は、すんなりと腑に落ちた。あぁ、そっか。
当たり前のことだ。御供え物はどれも、誰かからの贈り物なのだ。
どんな形であれ、供えてくれた人に感謝の気持ちを抱くから、想い入れが湧くのだ。
もしかして、おみおくり商店がお土産探しを専門としている理由も、その辺りにあるのだろうか。それだけじゃあないだろうけれど。
じんわりとくる話を聞いたなぁ。
「ちなみに、仲介人さんにそのお面を御供えした人って……?」
仲介人さんはさらりと答えた。
「もちろん、僕にとって大切な人ですよ」
◇
数時間後。
私と翠川さんと小松さんは、大阪城天守閣の入場券を購入していた。
大人六〇〇円。中学生以下無料(要証明)。
入場券には天守閣と石垣の写った写真が印刷されている。再入場は不可らしいです。
「未涼ちゃん、城ん中に行けて良かったなぁ」
「ええ、それはもう。……し、仕事ですよ?」
翠川さんは慈しむような笑みを向けてきた。私は「そんな目で見ないでっ」と嘆いた。
小松さんが私たちを見て朗らかに言う。
「えらい仲良しですねぇ」
「仲良しじゃないですよっ」
「いんや、俺たちは仲良しやで」
私たち生者と、幽霊の仲介人さんと白吉もついてきている。
よければ皆で天守閣に登りませんかと、そう提案したのは小松さんだ。
小松さんは既に水彩画を描き終えている。その作品の出来栄えはというと、私は見ていないので判らない。ぜひ拝見したかったのだけれど、「下手やさかい」と見せてくれなかったのである。それは、しょうがないので諦める。
小松さんが天守閣に登りたいと言い出したのは、白吉のためなのだそう。
「いつも大阪城公園に散歩に来る度に、天守閣に行きたい行きたいて、わたしを一所懸命に引っ張ってたんですよ」
大阪城天守閣は、補助犬でない限りペットの同伴が不可能である。以前まではケージに入れるか抱っこしていれば大丈夫だったそうなのだけれど。
どちらにしても、白吉は大きいので無理だろう。
しかし、白吉はずっと天守閣に登りたがっていた。
そういう過去があったので、小松さんは一緒に登りたいと言ったのだ。幽霊なら他の誰にも迷惑を掛けることがないので問題ない。
「なるほど。俺たちはついでということやな!」
「ついでやなんて。皆で登った方が愉しいやないですか」
「小松さん、嬉しいこと言ってくれますね!」
私は非常にテンションが上がっている。
すぐ近くで白吉が「キャンキャン」と、体格に似合わず甲高い声を出してはしゃいでおり、その感情が伝わってくるからだ。
「こ、この動物的テンションはマズいです。離れよう……!」
危うく私も吠えながら走り回るところだった。
「未涼ちゃん、涎垂れとるで?」
「げっ」
仲介人さんは、はしゃぐ白吉の背中に乗っちゃっている。幽霊だから重たくはないだろうし、犬が嫌がってないのなら良い、のか……?
大阪城天守閣には最上階の八階へと通ずるエレベーターが設置されている。小松さんはお年寄りなので、階段で上がるのは辛いだろうから、そちらを利用するだろう。と思っていたのだけれど当人は「お気遣いなく」と階段での移動を選んだ。
「白吉が元気なんでしたら、階段で進む方が喜ぶかなと思いますから」
白吉はその言葉を理解したのだろうか、飼い主の足に擦り寄った。
翠川さんは「階段かいな……」と嫌そうだった。
さて。
現在の大阪城天守閣の中は、様々な展示物が飾られていたり、映像が流されていたりする博物館となっている。
金色の鯱と、城の上部の壁にある同じく金色の伏虎、それぞれの原寸大のレプリカがありなんとも豪華である。
豊臣の築いた大阪城の模型と、徳川幕府による大阪城の模型が同じ階に展示されている。翠川さんから再築の話を聞いてなければ、「なんで二つ?」と疑問に思っていただろう。
豊臣秀吉が利用したとされる黄金の茶室が原寸大で展示されている。眩しい。
壁に大きく大坂夏の陣図屏風が飾られているフロアがある。あの武将はここにいますよ、と顔を拡大してくれたりしている。この絵に描かれている真田幸村は、別にイケメンではない。ミニチュア夏の陣という展示も興味深い。
豊臣の時代、徳川の時代における大阪城築城の歴史が判りやすく学べるモニターや、それから豊臣秀吉の生涯をまるっと解説してくれるジオラマが面白い。
歴史に詳しくなくとも充分に愉しめる場所である。
そんな城内を、小松さんは苦しそうな様子を見せることなく進んでいった。階段ではゆっくりながらも、足取りはしっかりとしている。頻繁に散歩をしていたからだろう。
白吉は相変わらず嬉しそうに走り回ったりしている。あまりに元気いっぱいなので、仲介人さんはもう振り落とされており、普通に後を追って浮遊している。
案の定、翠川さんは誰よりも苦しそうにしていた。
「あれないんかな、あれ……。そう、セグウェイ」
「いやそれ贅沢し過ぎでしょ」
私は溜め息を吐いた。
展示を眺める小松さんと、その周りを駆ける真っ白な犬の姿。
その様子を見ながら、私は翠川さんに言う。
「小松さんは元気になってくれましたし、白吉も喜んでいます。御供え物も問題なく用意してくれるみたいですし、今回の依頼は難なく達成できそうですね」
こうやって天守閣にも登れたことだし、良い仕事だった。
一件落着ですね――
と言いたかったのだけれど、なぜか翠川さんは「そうなぁ」と浮かない顔をしている。
「なにか気になることでもあるんですか……?」
「いくつかあるなぁ」
「い、いくつか?」
思わぬ返答に私は目をパチクリさせた。
「どういうことです? なにも問題はなかったように思うんですが……」
「うむ。最初の方は良かったわ。俺の洞察力のお陰で幽霊の話をすんなり受け入れてもろて、土産を頼むんも簡単やった」
さり気なく手柄を自慢しているのはいいとして……。
「それじゃあ、なにが引っ掛かってるんです?」
翠川さんは顎を撫でながら言った。
「未涼ちゃんが仲介人と散歩しとるとき、小松さんが言うとったねん。俺はちょうどそのタイミングで、ぼんやり目を覚ましとった」
「言ってたって、なにをですか……?」
「嫌や、って」
「え……?」
私は自分でも「嫌や」という言葉を口にしてみた。
それはなにに対して言ったことなのだろう。なにが嫌なのだろうか?
「他の気になる点を合わせて考えてみたら、この後の展開はそこそこ読めるわなぁ」
翠川さんは自分だけ理解を進めて、私にはなかなか説明しようとしない。これはいつものことなのだが、しかし慣れることはできない。すっきりしなくて、どうにも気持ちが悪い。
「私にも教えて下さいよ」
「俺から言わんでも、すぐ判るで」
「もうっ……!」
私たちはようやく最上階に到着した。
そこは展望台になっており、地上五十メートルの高所から大阪城公園、そしてその先に広がる街並みを眺めることができる。もちろん、緑色に染まっている屋根瓦と、黄金に光り輝く鯱もすぐ近くにある。
ここから見ると、緑豊かな敷地をオフィス街がぐるりと囲んでいるのがよく判った。
翠川さんは「こういう足場のしっかりしたとこは平気やなぁ」と言っている。
「…………」
私は小松さんの様子を窺った
小松さんは手摺に両手を乗せて、風景を眺めている。
浮かんでいる笑みが弱々しくなっているような気がする。翠川さんの話を聞いた後だから、そんな風に感じてしまうだけかもしれない。
しかし、傍で飼い主を見上げる白吉は、明らかに態度が大人しくなっている。
仲介人さんがふわりと近付いてきた。
「未涼さん、僕はそろそろ引き上げますね」
「行っちゃうんですか?」
「僕の仲介の役目はもう終わってますしね。それに、あまり仲良くなり過ぎたら、白吉が成仏しづらくなってしまうかもしれません」
「なるほど……」
「後はお二人に頼みますね。それでは」
仲介人さんは手摺を超えて、ふわふわと飛び去っていった。
私は「任せて下さい」と言って見送った。
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