この大陸では、精霊術士の能力に目覚めた者は誰もが聖地パンディアに赴いて術士として学ばねばならない。
地水火風の力を借りて恐るべき魔物と戦う精霊術士。その本領は、仲間と二人で祝詩を詠唱する「連祷」にある。連祷ができないと精霊術士の戦闘力は激減してしまうのだ。
しかしパンディアの学園に入学して三年目のエリルは、同級生とも先輩とも後輩とも教師とも、一度として連祷を成功させることができずにいた。かつてない落ちこぼれとして蔑まれ、表面上は笑ってみせつつもへこみまくる日々。
そんなある日、彼女は、天才と称される一年生のリトが上級生に絡まれ、対人禁止の連祷まで使って襲われる現場に遭遇。助けようと割って入った結果、リトと連祷を試みることになり……初めて、しかもとんでもない威力で、成功させてしまう。
それ以来、エリルになぜか果敢なアプローチをするようになったリト。エリルの親友で学園長の孫娘であるターニアや、リトの友人であるユーク、教師のハイヤーンらも関わり、エリルの日常は騒がしくなっていく。
書籍版ですでに二巻まで読んでいて、三巻発売を楽しみにしています。
一見普通の女の子ながら、周囲に謗られても夢を捨てず精神的にタフなエリル。クールに見えて実は好きな相手に一途な忠犬系だったリト。二人の取り合わせが絶妙で、やり取りが楽しい作品です。
同時に、一巻終盤で明かされる意外な(しかし言われてみれば某キャラの心理や行動が納得の)事実、二巻でのあるキャラたちの謎の連祷など、物語としての起伏も魅力的です。