日本人の感性

 今、世界ではウィスキーが百年に一度の大ブームなのだそうです。


 ところで、世界の五大ウィスキーをご存知ですか。


 スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、そしてジャパン。これが世界の五大ウィスキーと言われてるそうです。斯く言う私も若いころからウィスキー党で特にスコッチウィスキーをよく飲みました。


 飲んだことのあるウィスキーは例えば、グランツの12年、18年。キングオブキングス。トミントールグレンリベット。ジョニ黒、シーバスリーガル、ディンプル。など恐らく正確に思い出せばスコッチだけでも十数種類、若い時に飲んだと思います。


 そんな、自分が最近嵌ったのは、ニッカウィスキーの竹鶴ピュアモルト。これ、ハッキリ言ってスコッチウィスキーに負けない位の味を出しています。値段も手ごろですしね。この、竹鶴という名前は、実はニッカウィスキーの創業者の名前で、某国営放送で朝の連ドラになった、マッサンの名字をとったものです。


 この創業者はスコッチウィスキーに嵌り、スコッチウィスキーに、より近い味のウィスキーを作る事に人生を掛けました。そして、日本のウィスキーの基礎を作ったと言っても過言ではありません。


 日本人のとことん本物にこだわる姿勢というのは、本当に凄いと思います。実際、竹鶴さんが納得のいくウィスキーを作り上げるまでに、テイストや香りにどのくらい拘ったのか。そこに膨大な時間を費やしたからこそ、今、私達は美味しいウィスキーを口にすることができるのです。


 そう言えば、つい最近でしたが和食がユネスコの文化遺産登録されましたよね。特に欧米の人々は、日本の食文化に大いなる興味を示します。何故か? それは、フレンチでもイタリア料理でも、日本人の手にかかると新たな料理として昇華されてしまうからです。簡単に言うならば、和風フレンチ、和風イタリアンになってしまう。


 第二次大戦後、日本製品は欧米の猿真似とよく言われていましたが、実は猿真似ではなく、一度取り入れた技術を精査し、より高度な技術へと発展させてきたというのが事実なのです。もし、真似だけの技術であれば、欧米の水準を超える事は無理な話で、そこに日本人の豊かな感性と勤勉さが有ったからこそ、今の日本があるのです。新幹線の部品一つとっても、最初は町工場の職人さんたちが一生懸命培ってきた技術を結集した物だったのです。


 日本人には「技を極める」という言葉があります。それは、集中してとことん突き詰めたところにあるもので、それは例えば日本刀のように錆びることのない美しさであり、日本食のように口だけでなく目でも味わうことのできる美しさであり、運動選手の体のキレの美しさだったりするわけです。


 そのように考えると、日本人の求めて来た「極める」というのは、実は美を追求しているのではないかというところに突き詰められるようなきがします。日本舞踊,武道、華道、伝統工芸など、その世界を極めた物というのは本当に美しいものです。これはどの世界でもそうなのではないかと思えるのです。


 この国には数多くの極められたものがあります。私は、自分たちが使っているこの日本語も、意思を伝えるための道具として極められたものだと思っています。一つの物事を色んな形で表現できる日本語は、とても美しいものですし、この美しい日本語と日本人の感性を大切にしていきたいものです。

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