第5話 異常事態。深まる謎

 イブキと夜宵を連れオアシスまで案内する褐色の女性。向かう途中で俺たちは自己紹介をした。褐色の女性の名はレイリアと言うそうだ。

 俺はレイリアさんのことが凄く気になっていた。態度からしてもNPCでは無い。

それならリアルな人?と疑問が湧く。だがコンソールパネルは開くし外部リンクもされていない。

 それにログアウトしインすると世界が変化している。バグなのか?とも思うくらい理解に苦しむ。そう言えばタイトルには旅をする少女とあったな。ロアは旅をして動き続けるから世界が変化するのだろうか?

 俺はオアシスへ向かう途中ずっと考えていたが結論的にはそう思うしか無い。ただ始めの数ヶ月を考えると振り出しに戻りパラドックスにはまる。

 イブキはロアの記憶が戻ればな~と思った。


「見えてきました。あそこです」

 レイリアはオアシスを指差し答えた。俺達はその方向へ視線を向けた。

 確かにオアシスと確認できる泉が見える。

「よし、あと少しだロアが待っている。行こう」

 オアシスは目前、暑いけど力を振り絞り歩いた。


 そしてオアシスに到着した。

「お兄ちゃんのどカラカラだよ~」

 そう言うと泉へ向けて走りだす夜宵。俺も水浴びがしたいので後に続いた。

 泉の周りには商業用や宿泊用のテントが並んでいる。果物やら色々と売っているようだ。

「お兄ちゃん、エイッ!エイッ!」

「やったな~ホレッ、ホレッ」

 夜宵が泉の水をかけて来たので応戦するイブキ。水遊びをしていると水面に何やら浮かんでいるのが見えた。イブキは布らしき物をすくい取る。

「これは・・・?制服のリボンじゃないか!ロアに着せた制服のリボンに間違いない。やはりココへ来てたんだな」

 辺りを見渡すがロアの姿は確認できない。そこへ話しかけてくるレイリア。

「探し人は見つかりました?」

「いえ、まだです。ですがコレがあったのでオアシスに来てたことは間違いないと思います」

「そうですか。オアシスは広くは無いので私も探すの手伝います」

「レイリアさん、ありがとう!俺も探しながら聞いて周ってみます」

 そう言うとイブキは泉からあがり、商店らしき店が在る方へと歩き出す。店数は多くはない聞けばすぐわかるだろう。


 イブキは一軒の果物を売ってる店に行く。

「あの~すみませんが、この辺りで白い服の少女みませんでしたか?」

 店主はしばらく考えて思い出した様に話しだした。

「白い服ね~。そう言えば、随分前に来たな。お金を持って無いから困ってね~。まあ可哀想だから果物1個あげたんだけど、その後は知らないな」

「そうですか・・・ありがとうございます」

 俺はお礼を言って次の店に行って同じように聞いた。店主はすぐにピンと来たみたいだ。

「その子なら5軒先のテントにいるよ」

「ホントですか!ありがとうございます」

俺は5軒先のテントまで走った。


 そしてテントへたどり着くと、中へ入って叫んだ。

「ロア!」

 イブキの目に飛び込んできたのはマットに寝ているロアと隣に座っている女性。

 女性はいきなりの訪問で驚いていたが少女と関係があるのだろうと話しだす。

「この少女のお知り合いですか?」

「はい!ロアに何かあったんですか?なんで寝ているんですか?」

「この子はテントの前で倒れていたんです。見たところ熱病みたいです」

「熱病?治るんですか?」

「治りますけど薬が必要です。高額ですしココにはありません」

「いくらですか?どこへ行けば薬は手に入りますか?」

「薬は10万ルピアします。ここから西のゼムと言う街へ行けばあるかと」

「10万ルピア?それって日本円でおイクラ?」

 イブキの言葉に怪訝な顔つきになる女性。


「日本円?どこの国の通貨ですか?聞いたことも無い国の名です」

 俺は聞いたことが無いルピアという通貨にも驚いたが、日本を知らないのが何か引っかかった。そして女性に聞いた。

「あの~世界地図みたいの持っていますか?あれば日本がわかると思います」

「ありますよ。どうぞ」

 女性はカバンの中を調べ俺に地図を渡してくれた。俺は地図を見て何も言えなかった。日本が無い!それどころか世界地図そのものが違う。

 ココって異世界?ファンタジー?それしか考えつかない。今までの事を考えるとそれが辻褄つじつまが合うけど。ただNPC問題に突き当たる。


 俺がそう考えている時、ロアの声が聞こえた。

「イブキの声がする。どこ?」

 俺は高熱で寝ていたロアに駆け寄り声をかけた。

「ココだロア!待たせて悪かった。安心しろ何とかしてやるからな」

「ロアずーと、ずーと。イブキ探したんだよ。やっと会えた」

「ああ、済まない。俺が待ってろなんて言って帰らないばかりに・・・」

「イブキまた水遊びしようね」

 そう言うとロアは目を閉じた。俺はロアを看病していた女性に10万ルピアをすぐに稼げないか聞いたが答えはノーだった。10万ルピアを貯めるまでにはロアは助からないと言う。俺は絶望した。そして女性は驚く事を言った。


「たまに行商に来ているレイリアさんて薬商の方なら先に薬を分けてくれるかも知れません」

 イブキは叫び声をあげる。

「なんだって!その方知ってます!ココへ案内してくれた人です!近くに居ます」

 そう言うとイブキは駈け出してテントを出た。

「キャッ!」

 出会い頭だった。テント前にレイリアさんと夜宵がいる。

「丁度よかった!レイリアさんロアが熱病なんです!お願いします!薬を分けてもらえませんか!」

「ここに熱病の少女がいると聞いて私も来た所でした。すぐ薬を飲ませましょう」

 そう言うとテントへ入るレイリア。ロアに近づきカバンから出した熱病の薬を飲ませた。


「これで暫く寝ていれば熱は下がると思います」

 レイリアさんの言葉に俺はホッとし、お礼を言った。

「ありがとうございます。それでお代なんですが、俺達はルピアと言う通貨を所持していません。代わりに渡せるものも無いので働いてお返しします」

「お代は結構ですよ。どうしてもと言われるなら、お連れの方の異国の服でも代金にしてくださって大丈夫です」

「異国の服?て夜宵のスク水ですか?」

 レイリアはイブキの問にハイと答えた。どうやらレイリアは夜宵のスク水が、たいそう気に入ってるようだ。


 イブキは夜宵の方へ向き直ると叫んだ。

「夜宵ぬげ!今すぐぬげ!裸でかまわんから脱げ!」

「お兄ちゃんのエッチ!水着じゃないと暑いんだよ。代わりの水着もないし」

「俺のを貸してやる!脱げ!」

「お兄ちゃんのって何よ?ちょっと見せてよ」


 イブキはコンソールパネルを開く。素材項目をスライドさせて夜宵に見せた。夜宵は暫く沈黙したあとで怒鳴った。

「・・・お兄ちゃんの変態!妹にこんなの着せたら犯罪だよ!」

「兄妹だし別に良いだろう」

「良くない!それに、このスクール水着、兄妹以前の問題だよ」

 イブキの見せたスク水(乳首穴あき使用)は却下された。


「もう仕方ないな~。お兄ちゃん、あっち向いてて」

 俺は言われるがまま夜宵に背を向けた。OKが出て振り向くと水色のワンピースに着替えていた夜宵。コイツ今度は着脱に気づいてたのか。少し残念だ。

「ねえ、お兄ちゃん。レイリアさんに私の水着、着けていいの?コレ私達が居なくなれば消えちゃうよ」

 小声でイブキに伝える夜宵。確かにそうなんだよな。あれ?ロアのは消えてないんだけど?と一瞬、疑問が沸いたが後回してレイリアさんの問題を考えた。

 この世界にいる間はいいけどだますみたいで気は引けるな。でも本人は薬はタダで良いというし、着たいみたいだし良いんじゃないかな。と思った。


「大丈夫だ。着せてやれ」

「わかった。お兄ちゃんまた後ろ向いてて」

 チッ!コイツそのまま着脱しなかったか。レイリアさんの豊満な体が見れんじゃないか!くそ~仕方ないか。背を向けるイブキ。

「はい。OKだよ~。少し小さいかも」

「わ~今のは何ですか?魔法ですか?服が一瞬で変わりましたよ!」

 驚くレイリアの姿はスク水が股間ハイレグで胸がパツンパツンだ。


 これはけしからん!凄くエロい!特に股間から目が離せん!

 イブキはガン見状態。

「魔法と言えば魔法かな。ねえ、お兄ちゃん」

 夜宵は俺に同意を求めてくる。

「そうだな。この世界には魔法が使える人がいるんですか?」

 俺はレイリアさんに確認の為に聞いてみた。

「いますよ。宮廷魔術師さんや一般で使える人もいます」

「なるほど~」

 やはり設定はファンタジー世界だな。NPCが意思を持つ世界。それも複数なんて

ウガー!ありえんから頭がおかしくなりそうだ。いや待てよ、今まで無いものを誰かが開発した。それなら解決するな。

 ただ新技術がジャンク品てのが腑にオチないけど・・・。


「お兄ちゃん、ロアちゃんて可愛いね。お友達になれるかな」

「きっと、なれるさ」

 俺がそう答えた矢先、夜宵が奇妙なことを言う。

「お兄ちゃん。さっきレイリアさん着替えさせてたとき、コンソールパネル見て勘違いかな~て思ったけど。う~ん気になる~」

「何がだ?」

「え~とね、夢ソフトてコンソールパネルにタイトル出るよね。お兄ちゃんから聞いたタイトルって、こんなだったかな~と」

 俺はコンソールパネルのタイトルを急いでみた。

「なんだこれは!」

 信じられない物を見たイブキは大声をあげた!視界に入ったタイトルは


『記憶を亡くしたまま旅をし倒れた少女』
















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D.R.E.S.S-ドレス- 高見 雷 @taka-mirai

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