合コン

スマホも昔に比べれば相当進化した。

例えば顔にスマホをかざせば相手の顔の筋肉の動きや僅かな目線の動きを予測して相手の感情を読み取ることができてしまう。

だから合コンなんかは昔に比べるといたってシンプルだ。

最初に少し談笑して、しばらくした時にさっとスマホをかざしてみる。

そうすると相手の考えていることが手に取るようにわかる。


今日は合コンの日だ。

そして女の子が僕の正面に座った。

ストライク

まさにこんなにタイプの娘はもう二度と会えないだろう。

僕は頑張った、気を使いながら優しさをアピールしたり。そして合コンは終盤になりさっとスマホをかざす。


“早く帰りたい”


スマホの画面にはそう映し出された。


残念だった。


お会計が済みんなバラバラに帰宅する。

振り返ると彼女の背中が見えた。


やっぱり諦められない。

「すいません!今日の合コンは退屈だったかもしれないけど、友達からお願いします!」


「どうして諦めなかったの?」

彼女が言った。

スマホをかざしていたことがバレていた。

「君みたいな娘を諦めるなんて耐えられなかったんだ」

「私、わざと帰りたいって思うの、それでもいいって言ってくれる押しの強い人を待ってたの」


僕はさっそくあのアプリを削除した。

こんなもの便利でも何でもないな。

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