プロローグ 世界がゲームになった日4

俺は画面上にでている言葉を翻訳して読み上げる。

まるでゲームのスタート画面のようだ。

「これは一体なんでしょう……」

「ゲームのスタート画面見たいだ……」

「イエスを押して良いのですか……?」

「ちょっと待ってくれ」

ゲームを始めますか?ってどういうことなんだ。

現実では起こることのない塔、メニューバーの出現。

それはゲームの世界にでも来たかのようだ。

ここでイエスを押したらどうなる。

異世界に転移したりするのか?

いや、そんなことは絶対に起きないはず。

それではこれまでの常識が全て覆る。

でも、現に不可解な事がこの現実で起きているんだ。

今なら何が起きてもおかしくない。

俺もメニューバーを開いてみるとゆうと同じ画面になっていた。

やっぱり俺の画面にもゲームを始めますか?という表示が出ていたを

メニューバーの右下にある×を押すが、画面は閉じない。

「どうやらイエスかノーを選ぶまではこの画面は消えないらしい」

「どうしましょう……」

ゲームスタート画面を見た学級委員は頭をかきむしり始め、目を虚ろにする。

「なんなんだよ!ゲームを始めますか?ってどういうことなんだっ!!」

「ほらみんな早くイエスを押せよ。押さないとゲームスタートしないだろ。フフフ……」

不気味な男は机の上に尻を据え俺たちを煽り始める。

「そういうお前は押したのか!?」

学級委員がそう不気味な男に怒鳴りつけると、悪夢が起きた。

パリーン。

前の方で窓ガラスが割れた音がする。

そしてその音がした方へと教室にいるみんなは顔を向けた。

「ほら……言わんこっちゃないだろう……。フハハハハ!!」

不気味な男は人格そのものが壊れたかのように手で頭を押さえながら笑う。

塔以上に現実感のないものが嫌でも目に焼き付けられる。

時が止まったかのようにみんなが固まる。

そした本当の恐怖から悲鳴はすぐには出なかった。

何秒後かに恐怖による何かが裂けるような激しい叫び声がする。

割れた窓の前には、がっしりとした体格で、体長は2メートルほどあるモンスターが立ちはだかっている。

皮膚は赤く石を敷き詰めたようにゴツゴツしており、額からはほぼ真っ直ぐに延びる2本の大きな角が生えている。

眼は充血したように赤く、とても鋭い。

両脚は不自然なまでに長く、体長の半分を超えるほどである。

長い両腕の先には、邪悪なまでに湾曲した大きい爪。

そしてそのモンスターは首だけを動かし、鋭い眼光で教室中を見る。

みんなは口を押さえながらこいつと目が合わないようにそらしている。

俺も同じだ。

隣にいる姫路をゆっくりと床に座らせ、しーっと鼻に人差し指をくっつけてサインを送る。

そのあと俺もゆっくりと腰を下ろしていく。

俺たちのいる位置はモンスターにとっては死角。

だがこちらもデーモンの動きを確認できない。

教室にいるみんなの顔を伺うしかないのだ。

「みんな!早くノーを押すんだ!ノーを押せばこの化け物が消える!早く!早く消すんだ!」

学級委員は勇気を振り絞ってみんなに最後となるかもしれない指示を出す。

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