プロローグ 世界がゲームになった日3

姫路はスカートについた埃を取るためパンパンと叩きながら目を合わせずにそういった。

「いや!そんなことない!」

俺はフリフリと手を左右に揺らす。

この状況で何を動揺しているんだ。

すると目の前の空間に青い枠で半透明な画面が現れた。

ゲームなどでよく見るステータスバーのようなものだ。



【名前】原田隼:Lv1

【職業】メサイア

【生命力】9

【精神力】5

【筋力】5

【敏捷力】5

【知力】6

【運】7

【ステータス振り分け】0

【アビリティ】Lv5から解放


:装備:持ち物:パーティー:ギルド:マップ:メッセージ



ゲームで見るようなこの画面は何なんだ。

これはステータスバーというよりはメニューバーのようなものか。

職業・・・メサイア・・・?

そんな職業聞いたことがないぞ。

このメニューバーの右下に×があり、そこをタッチしてみると画面は閉じた。

もう一度その画面を開こうとするがその方法をわからない。

顎に左手を置いてその出し方を考えようとすると手首のぼこっと骨がでているところに歯車のような刻印があった。

俺の手首の歯車に軽くタッチをする。

再度、先ほどと同じ画面が出現する。

なるほど。

これがメニューバーを出すためのボタンなのか。

「おい!学級委員!これはどういうことなんだ」

ブレザーを着ていてもそのがたいがわかるほどゴツい体型をしたこいつは梶木剛志かじきつよし。

この状況でクラスメイトの解説をしている場合ではない。

今置かれている自分達の状況を知らなくては。

俺はそう思いながらも梶木の方へと目をやる。

「僕だってわからないさ!なんなんだい?この画面は!」

いつも冷静な学級委員でさえ取り乱すほどの状況だ。

すると目が髪で隠れ襟足はワイシャツの襟まで伸びている不気味な雰囲気を漂わせる男が顔を上げて高らかに笑い出す。

「フフフ……。塔の出現により……人類は死ぬ!これからデスゲームが始まるんだ!」

教室の入り口前にいる剛志は机を倒しながらその男に男に近づいていく。

「てめえ!何がデスゲームだ!!」

剛志はその男の胸ぐらを強く掴んで前後に揺さぶる。

「じゃああの塔は何だ?お前にもステータスが出てきただろ?」

剛志は男が言ったことに対して言い返すことができないのかゆっくりと胸ぐらから手を離す。

争いなんかしてる場合じゃないだろ。

さっきの強い揺れがもう一度来たら建物が倒壊するぞ。

俺がそう考えながら二人を見ていると服の裾をクイクイと引っ張られた。

「こ……これは……」

姫路は青い枠で半透明なウィンドウを開いて、それに映った画面を指差す。

彼女のメニューバーの開き方も俺と同じく、手首についた刻印をタッチすることであった。


Are you ready for the game?


YES or No?


「あなたはゲームを始めますか……?」

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