世界が救われた後に、なかなか仲が進展しない元勇者と、懐かしの仲間との再会を求めて旅をする。そんな珍しい珍道中。かつての仲間の今だから言える思いや、現在の生活が描かれていきます。ただ一番大事な命題は彼は覚悟を決めるのだろうか。
世界観は、カタカナの聞きなれない国や人物が出てくる、わりとオーソドックスな異世界。王道ファンタジーと言ってもいいだろう。しかし、この物語は「魔王を倒した後」から始まる。平和が訪れた世界にて、魔王を倒した英雄であるルエルの悩みは自分の恋愛。オリジナルの異世界設定でありながら、読み手が混乱するような難しい話は入れず、尚かつ、異世界の日常を感じられるようになっている。主人公たちの挙動が容易に浮かぶのも、著者の文章力のおかげである。これからの更新も楽しみだ。