異世界転生モノって食傷気味だったけど、本作はそれを逆手に取った、斬新な小説でした。
面接ですよ面接!
今や、異世界転生はありふれた現象。
今日も今日とて、異世界に転生した地球人がわんさか到来するという、ネット小説を皮肉った内容(笑)。
なので、採用する王国側も、転生者に履歴書を書かせ、面接しなければならないという…異世界も世知辛いね!
履歴書の内容や面接風景も、妙に現実社会を風刺しており、シニカルな笑いを提供してくれます。
…いや、笑えないから。
就活の苦しみを思い出すから!
心をえぐるのやめてぇ〜!
面接をするだけで手一杯になり、チート主人公を採用できず、どんどん異世界の情勢が悪化しているのも笑い所。
着想の勝利ですね、これは。
この筆力と能力…作者は物書きのチートです。
姫と魔術師の的確でありつつ好き勝手で容赦のない書類審査、大笑いできました。
異世界に行くのもたいへんです。
けっきょく向うで活躍できる人はこっちの世界でも活躍できる人なわけで。
異世界モノにありがちななんの取り柄もないモブが大逆転なんて、おまえらあんま夢みンなや…というアイロニーがびしびし伝わってくる。
異世界ものもそのパロディもやりつくされた感があるいまの時代にあって、それでもこれは面白い。
ライトでとことん読みやすい語り口ですが、基礎となる文章力や構成がきわめてしっかりしているからだと思います。
けっきょくのところ、なにを書くにしても地力の差というのは出るものですね。
たぶん相当に頭のいい作者様であらせられると存じます。