第三章

第14話 辺境と蛮地

さて、第十二皇子の領地に向かう事にした俺だが、俺のチートはノーダメージ。飛んだり、転移したりする事は出来ない。


しかし、戦火が迫る今、ノンビリ歩いて行くわけにはいかない。


姫さんに献上された馬のウチ、三頭の馬を譲ってもらい、乗り換えながら進む事にした。


都へは、回り道して戻る事になる。しかし、行きは集団で合流したり、離散したり、大軍が待ち受けているのを迂回したりと西戎の軍とぶつかるのを避けて動いていた。

それに比べれば、一人で馬を使って進むのだ、集団で移動するのとはスピードが違う。少々ゴタついても2週間で都に戻れるはずだ。


だが、向かう先は辺境。中央に戻って行くのに辺境って言うのも変な感じなんだが、皇国の認識だと皇国の領域と東西南北をつなぐ街道と街道沿いの国々ぐらいが人の住む場所で、それ以外は人外魔境なんだ。もちろん、そこにも国があり、生活する人々がいるのだが、そういった人々は人権を認められていない。


また、皇国の認識も間違ってはいない。

実は、皇国と街道は、魔法陣のコントロールセンターとメンテナンス用通路だったりする。

そこから離れた場所だと、制御から外れた魔力が溜まっていたり、吹き出したりするのだ。


溶鉱炉やら劇薬のタンクやらが所狭しと並んでる工場を想像して欲しい。


皇族とは、ここの魔法陣の管理を任された一族なのだが、代を重ねるごとにそういった知識は失われ、形骸化した。


そういったわけで、元々人が住めない場所って言うか、住んじゃダメな場所だったのが、人口の増加と共に人々が生活できる場所を求め、魔法が荒れ狂う土地に入り込み、じょじょに生活圏を広げてきたのが、今の蛮地の始まりなのだ。


今では魔法の安定している場所にたどり着き、王国となった国も多い。


ただし、初期に建国された国の中には魔法の影響で住人が変質してしまった国もある。


…………うん、ケモミミなんだ。


ナゼか日本の侍文化とそっくりな犬耳の国とか、なんちゃってエジプト文明の猫耳王国とか、古代中華文明の虎耳帝国とかあるそうだよ……


はぁ、テンション下がっちゃたけど、そろそろ出発しよ。


「ギャー!」

「関所破りだー!」


もちろん、関所は押し通っていくけどな!




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