第5話 南大門ごとぶっ飛ばす!

俺たちも真っ直ぐに走って来たが、さすがに南の門に着く頃には、守備隊しゅびたいも異変に気が付いたらしい。


二重にじゅうの扉がある門は堅く閉ざされ、弓や槍を構えた兵士達が立ち並んでいる。


俺がけて行く目の前に大男が立ちふさがった。なぜか、西洋のフルプレート姿だ。


南の門は南大門なんだいもんの名のとおり、この都で一番大きな門、そこをまかされているのだ、かなりの高レベルの男なのだろう。はしらの様な大鉾おおほこを構えている。


「あいや!待たれ プギョやブッ……」


なにか言いたそうだったが、邪魔じゃまだったので、ぶっ飛ばした。ゴメンな。大男は、そのまま後ろにいる兵士達を巻き込んで、門の大屋根まで飛んでった。

全身鎧ぜんしんよろいの大男がぶつかった大屋根は半壊、落し戸もひん曲がって落とせなくなった。


ガレキが落ちて来て、門の通りが埋まったのは想定外だったけどな。


「おのれ!口上こうじょう最中さいちゅうおそいかかるとは!」

狼藉者ろうぜきものじゃ!皆の者、て!」


左右にも副隊長みたいのがいた様で、大惨事にも関わらず、俺に立ち向かってくる。うん、嫌いじゃないよ。


だが、この世界に召喚された時に、ダメージが入らない設定になったのね。俺。ホント、申し訳ないチート。


四方から矢が飛んで来るが、ペチペチウザいだけ。


前からは、

「ば、化け物め……」

と、怨嗟の声が、


後ろからは

「流石は御遣い様!」

と、称賛の声がする。


矢の雨が止んだ所で、今度は俺が口上を叫ぶ番だ。

「お役目、ご苦労!だが、ここは姫のため、押し通らせて頂く!」

返事を期待した訳ではなかったが、ガレキの中からいらえが帰ってきた。


「ぐふふ、この守安もりやすを、一殴ひとなぐりとはな」


次の瞬間、ガレキの山をはじいて、全身鎧の大男が立ち上がった。


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