第4話 ありきたりな消費者金融


1,2,3,4……


これってラチナムに換算したらいくらになるんだろうなあと、あるSF作品を思いだしつつ。

生きてる限り、人はは消費してなんである。。

誰かが消費し、誰かが儲けてまた市場へ金を流す。このシステムで動いている世の中。我々は消費する側ではない。儲けて金の流れを操る側だ。儲けもでないのに誰が金貸しなどするものか。

昔から金貸しは金持ちがするものと決まっている。

貧乏人のする金貸しは詐欺に過ぎん。


金持ちといっても、ただ金があるだけでは意味が無い。

いつなんどき落ちぶれるやもしれぬ。


本当の金持ちは、金貸しは、決して落ちぶれたりせん。


考えてみろ。金など実は矮小なものだ。

それを適当に流しながら、「金になるもの」を「一定の割合」で流す。

需要と供給を調節する。要求と希望に応える。それ相応の対価を伴って。

これぞ真髄。


ありきたりな消費者金融とは本来そういうものだ。



奥の扉をいくつか開けると「金」および「金に代わるもの」を納めてある部屋である。

我々は現金取引しかしない。


振込?


そんなものは些細な額だ。表立って構わない程度の。

まあ目眩ましには使うがな。正規ルートはあくまでも表の顔だ。アタリマエのこと。



さて、そろそろ約束の時間だ。

時間厳守、これは今も昔も大切なことだ。時は金なりというだろう?



我々は最奥に設置された部屋の扉に向かう。そしてロック解除装置に、手のひらから生えている3つにわかれた中央指をあてた。さらに銀色に輝く4つの虹彩を認識装置にかざす。


重い音をたてて扉がひらく。

おやおや面倒くさい。

物音やら唸り声やら。

いくつか意識のある個体があるようだな。薬が切れたかな。まあ構わないさ。


愛らしいペットたちだ。泣きわめいているが傷つけないようにせねばな。まあ個体それぞれを力場でくるんであるから大丈夫だろう。重力シールドは個体を緊縛するのにもってこいだ。



おおっと、光に包まれて金が転送されてきたな。時間通りだ。

律儀な種族は好きだよ。

お返しに、我々は可愛らしいペットとして部屋に転がっている地球人たちを光に包んだ。せいぜい可愛がってもらいな。

部屋は静寂に包まれた。あるのは我々と山積みの金だけだ。実に清々しい。

これで本日の主な取引は終了だ。



本来、金融業者とはこういうものである。

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