第3話ちわわおばあちゃんとリーその2

「ちょっと待った! 忘れ物」


ちわわおばあちゃんは、ドアを開けてお店の方へ戻り、本棚の方へ向かう。リーも後に続いた。


ちわわおばあちゃんは、脚立にのって本棚の上の方から、一冊の本を取り出して、脚立を降りた。そして、玄関のドアの左側にあるフックからバックをはずす。


ちわわおばあちゃんは、バックに本を入れながら「犬友達のランディさんが欲しがってるだろう本を忘れるとこだった」と言った。


「ランディさん?! ここの前の持ち主の? 散歩中に会うんですよね? 僕、会うと万引きばれてしまうかもしれない」

「大丈夫! 私がその時はなんとかする! それにリーくんにはこの店の手伝いを頼もうかと思うんだよ、いいかい?」 

「えっ? 僕でいいですか? はい!」

「ここで働いてもらえば私も助かるよ。君にいくらか払って夜はご飯食べていくといい」

「ありがとうございます。助かります」

「では、散歩いこうかね?」

「はい」



「あっ、明日、ここに来る約束だったね。養い親が帰ってくる明後日に、養い親を連れて来られないかな?」


リーは頭をかいて、「うーん、どうやって両親に説明しましょうか? それと両親とも、本嫌いなんですよ」と言った。


「映画や音楽は好きかな?」

「そういうのにお金使うのはもったいないと言って見ないです。あっ、ありました。母が編み物が好きです。父は飛行場で飛行機を見るのが好きです」

「あった!2つを組み合わせたいいお話があるよ」

「小説?」

「童話だね」

「大丈夫でしょうか?」

「私に任せておけばいいよ。さあ、行こう」


ちわわおばあちゃんは、玄関のプラカードをクローズにして、ドアを開ける。


「あっ、待って! メリー!」


リーは、チワワのメリーに引っ張られどんどんかけだしてた。


「メリー、こんにちは! 今日もかわいいでちゅね」


あっ、ランディさんだ、どうしよ?


後ろから、ちわわおばあちゃんがかけてきて、「ランディさん、こんにちは」と言った。そして、リーを親戚の子と紹介し、2人はしばらく世間話をする。


「そうそう、ランディに頼まれてた本持ってきましたよ。夢見る宝石どうぞ」

「あー、ありがとう。楽しみにしてたのよ、この本。はい、お代ね。また、読み返したい本思い出したら頼むわ。また! メリーもね」


2人が話してる間、ぐるぐる回って遊んでいたメリーは、話がわかったようにチワワおばあちゃんちへ一直線へ戻って行きたそうな様子をみせる。


「ランディさん、また! メリー、リー、帰るわよ。かけっこよ」


メリーはワンとほえてかけだす。つられてリーもかける。ちわわおばあちゃんもかける。


夕日の最後の一筋がキレイに輝いていた。


一冊お買い上げなり!


夢見る宝石

シオドア・スタージョン


奇妙な人びとと夢見る不思議な宝石のお話。スタージョンは、キャビアの味と称される不思議なお話を書いていたSF作家でした。この作品はSFよりではなくファンタジーに近いです。私の大好きな作家の1人です。











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