第14話超能力
退屈な事件をいくつも解決していたカクヨだった。
そしてカクヨは今日もカクヨ研究所の一室でハンモックにゆられていた。
「あ〜ぁ、退屈。なにかおきないかな〜」
またハンモックをゆらした。
「こういうときにはクヨム君が、入り口をバン!って」
そう言って入り口を見た。
バン!
「博士! 事件です!」
「キタキターーーーーーーーー!」
カクヨはハンモックから降りるのももどかしく、転げ落ちた。
「イタタタ……」
「博士! 大丈夫ですか?」
「だ、だいじょぶ」
赤くなった額と頬と肘を撫でながらカクヨは答えた。
「それで、クヨムくん。事件というのは!?」
立ち上がり伸びでもするように精一杯体を伸ばし、腕を組んで訊ねた。
「はい、博士。これを見てください」
クヨムはタブレットを胸というか、腹というか、ともかくそのあたりに持ってカクヨに見せた。
「今度は超能力者ですかぁ。クヨム君、異能力と超能力って何が違うんですか?」
クヨムは一旦天井を見上げてから答えた。
「そう言えば、なんなんでしょうね?」
「異能者の時に引っかかってなかったってことは、なんか違うんでしょうねぇ。異能者、残しとけばよかったなぁ。解剖とかいろいろして、違いを比べられたのに」
「は、博士〜、そう簡単に解剖とかいろいろとか言わないでくださいよ〜」
「まぁいいや」
カクヨは戸棚からペットボトルを取り出した。
「前のとは違うナノボットさんとマイクロボットさんです」
「また、記録を消して、人間も抹殺ですかぁ? お、お願いですから穏便に」
「はい。クヨム君がいつも穏便にってうるさいので、これはただの病原体です」
「ナノボットとマイクロボットって言いませんでした?」
「言いましたよぉ。そういうナノボットとマイクロボットさんです」
カクヨは机に向かい、パソコンをペタペタと操作した。
「はい、超常はこんなもんでいいかなぁ。ナノボットさんとマイクロボットさんに転送!」
カクヨはリターンキーをポチっと押した。
机からまたクヨムの前に戻り、ペットボトルの封をあけた。ウゾウゾとブンブンとナノボットとマイクロボットが這い出し、飛び立っていった。
「あの〜、博士。病死だから問題ないとか…… そうはいいませんよね?」
「クヨム君もわかってきましたね〜。SFの世界には、VRMMOのどうでもいいのとか、まぬけロボットの反乱とか、巨大ロボットの脳筋などつきあいとか、歴史を読めばすむような戦争とか、くっだらない最終戦争後の世界とか、できそこないの超管理世界とか、ご都合主義のミステリとか、ありきたりの宇宙人とか、スペオペとか、ファンタジーな異能とかファンタジーな魔王とかファンタジーな魔法とかファンタジーな異世界とかファンタジーな超能力者とかファンタジーな不思議現象とか…… あ、SFの世界じゃなくてカクヨの世界にはいりませんから、穏便に病死してもらいます」
「は、博士〜〜。そ、それ、穏便と違いますよぉぉぉぉぉ! なんかいろいろな意味でぇぇぇ! しかも一つだけなんかなんにもついてないのあるじゃないですかぁぁぁぁ! それにぃぃ、最後の方ぉぉ、面倒くさくなってるでしょぉぉぉぉぉぉぉ!」
「見た目、ただの病死ですから、大丈夫ですよぉ」
「あぁぁぁぁぁぁぁ! ツッコミ無視されたぁぁぁぁ! も、もうついていけないぃぃぃぃ!」
クヨムは床に崩れ落ちた。
「まぁまぁ。慣れてください。つきあい長いみたいですから」
「も、もうついていけないよぉぉぉぉぉぉぉ!」
「ついていけないよぉ〜〜じゃないですよ〜。そういう後ろ向きなとこがクヨムくんの悪いとこだよね〜」
そういうと、カクヨは小さな脚立からハンモックに乗って寝転んだ。
そしてカクヨは呟いた。
「あ〜ぁ、退屈。なにかおきないかな〜」
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