第7話魔王
退屈な事件をいくつも解決していたカクヨだった。
そしてカクヨは今日もカクヨ研究所の一室でハンモックにゆられていた。
「あ〜ぁ、退屈。なにかおきないかな〜」
またハンモックをゆらした。
「こういうときにはクヨム君が、入り口をバン!って」
そう言って入り口を見た。
バン!
「博士! 事件です!」
「キタキターーーーーーーーー!」
カクヨはハンモックから降りるのももどかしく、転げ落ちた。
「イタタタ……」
「博士! 大丈夫ですか?」
「だ、だいじょぶ」
赤くなった額と頬と肘を撫でながらカクヨは答えた。
「それで、クヨムくん。事件というのは!?」
立ち上がり伸びでもするように精一杯体を伸ばし、腕を組んで訪ねた。
「はい、博士。こちらをご覧ください」
クヨムはタブレットをカクヨに見せた。
「あ、やっぱり来ちゃいましたね。軍の数はむちゃくちゃすくないですけど、人数?なのかな?はむちゃくちゃ多いですね〜」
「博士〜、来ちゃったって何がですか?」
「魔王軍です。正確には魔王軍連合軍ですね〜」
「ま、魔王軍!? ま、魔法なんか使われたらどうにもなりませんよ!?」
「う〜ん、あっちの異世界では使えてもここでは物理法則が違うから使えないと踏んでいたんですけどね〜。現に呼び戻した人はそれっぽいことできませんよね?」
「それより、あっちに戻せって言ってる人が大変らしいです。能力とかハーレムとかケモミミとかいってるらしいです」
「う〜〜〜〜ん」
カクヨは顎に手をあてて、珍しく考えていた。
「ここは神の皆さんに来てもらうことにしましょう」
そういうと異世界の時に使った装置から布をまた取り、起動した。
「でもまずは、魔王軍連合軍がどこからきているかを見てみましょう」
カクヨは装置の横にあった棒を上に伸ばし、そのディッシュを広げてパラボラアンテナにした。
「解析しましょ〜〜〜。あ、きたきた。まぁやっぱり物理法則が近いところからみたいですね。う〜ん、そうすると頑張った魔王軍の世界の神や勇者に来てもらうとか、他に近い宇宙から神の軍勢に来てもらうとかしましょうか?」
「か、神の軍団ですか? き・帰依せよとか言われたら」
「まぁ、その心配もありますね〜。じゃぁこっちに来ちゃった魔王軍連合軍の宇宙をふっ飛ばしちゃいましょう」
「ふっ飛ばすって、そ、そんなことできるんですか?」
「できますよ? この装置ですべての宇宙に宇宙の種子を送ってありますから。こちらの物理法則とかなり離れていると崩壊しているでしょうけど、魔王軍がやってくるような宇宙なら生き残っているんじゃないかな?」
そう言ってカクヨは装置の3つのボタンを連打した。
「はい、宇宙消えちゃったみたい。クヨム君、タブレット見せて」
そこにはゲートが閉じたことにより混乱する魔王軍連合軍が映しだされていた。
「玄関の鍵、警察の方が立ち会ってないと、大家だとしても開けちゃったら不法侵入なんですよぉ。ノックもなく入ってきたんですから、これは洒落になりませんね〜」
カクヨは自分のスマホを取り出した。
「さぁ、衛星上のレーザーの皆さん、こういう連中、蒸発させちゃってください。熱、電磁場、重力場に変動があれば、そういうのを優先的に」
そう言ってスマホをタップした。
そして目の前の装置に向き直った。
「生き残りそうなのがいたら、お仕置きとして物理法則がぜ〜んぜん違う宇宙に飛ばしちゃいましょう」
「博士〜、そ、そんなことして大丈夫なんですか?」
「だいじょうぶだいじょうぶ。一瞬で体とか分解するか、ゴルフボールくらいの大きさでグチャグチャになるとかだから」
そう言ってカクヨは装置のボタンを8連打した。
「クヨム君、タブレット。ニュースでどうなってるか見せて」
魔王軍の軍勢が次から次へと消えている様子が放送されていた。
「グググググオオオオオオオオ!」
と力んだ魔物もいた。それはすぐさま蒸発していた。
そんなこんなで一時間。
「はぁ、数が多いと面倒だね」
「博士〜、面倒だねじゃないですよ〜」
「じゃないですよ〜じゃないですよ〜。そういう後ろ向きなとこがクヨムくんの悪いとこだよね〜」
そういうと、カクヨは小さな脚立からハンモックに乗って寝転んだ。
そしてカクヨは呟いた。
「あ〜ぁ、退屈。なにかおきないかな〜」
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