第6話超管理社会

 退屈な事件をいくつも解決していたカクヨだった。

 そしてカクヨは今日もカクヨ研究所の一室でハンモックにゆられていた。

「あ〜ぁ、退屈。なにかおきないかな〜」

 またハンモックをゆらした。

「こういうときにはクヨム君が、入り口をバン!って」

 そう言って入り口を見た。

 バン!

「博士! 事件です!」

「キタキターーーーーーーーー!」

 カクヨはハンモックから降りるのももどかしく、転げ落ちた。

「イタタタ……」

「博士! 大丈夫ですか?」

「だ、だいじょぶ」

 赤くなった額と頬と肘を撫でながらカクヨは答えた。

「それで、クヨムくん。事件というのは!?」

 立ち上がり伸びでもするように精一杯体を伸ばし、腕を組んで訪ねた。

「はい、博士。こちらをご覧ください」

 クヨムはタブレットをカクヨに見せた。

「なになに〜。独裁者とAIによる超管理社会ですか〜。ま、AIの方はこの間と同じようなウィルスでっと」

 カクヨはハンモックの向こう側にある机からニ本のメモリメディアを取り出し、戻ってきた。

「クヨムくん、タブレットかりますね〜」

 カクヨは言うが早いかクヨムのタブレットにメモリデバイスを刺した。

「これで、はい、ブロードキャストっと」

 そう言い、タブレットをタップした。

「さて、あとは独裁者ですね〜」

 カクヨはメモリデバイスを差し替えた。

「視覚情報と聴覚情報で吹っ飛んでもらましょう」

 そう言って、またタブレットをタップした。

「博士〜、吹っ飛ぶってどういうことですか?」

「いやいや、誰でも食べてる穀物の遺伝子改良をしたのはカクヨですから。ちょっとそういうことになるものを生成するコードも入れといちゃいました」

 カクヨはタブレットを12連打した。

「うんうん。これで跡形もなくなってるはず」

 カクヨは何回かうなずいていた。

「博士〜、それ、入れといちゃいましたじゃないですよ〜」

「入れといちゃいましたじゃないですよ〜じゃないですよ〜。そういう後ろ向きなとこがクヨムくんの悪いとこだよね〜」

 そういうと、カクヨは小さな脚立からハンモックに乗って寝転んだ。

 そしてカクヨは呟いた。

「あ〜ぁ、退屈。なにかおきないかな〜」

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