第4話VRMMO

 退屈な事件をいくつも解決していたカクヨだった。

 そしてカクヨは今日もカクヨ研究所の一室でハンモックにゆられていた。

「あ〜ぁ、退屈。なにかおきないかな〜」

 またハンモックをゆらした。

「こういうときにはクヨム君が、入り口をバン!って」

 そう言って入り口を見た。

 バン!

「博士! 事件です!」

「キタキターーーーーーーーー!」

 カクヨはハンモックから降りるのももどかしく、転げ落ちた。

「イタタタ……」

「博士! 大丈夫ですか?」

「だ、だいじょぶ」

 赤くなった額と頬と肘を撫でながらカクヨは答えた。

「それで、クヨムくん。事件というのは!?」

 立ち上がり伸びでもするように精一杯体を伸ばし、腕を組んで訪ねた。

「はい、博士。こちらをご覧ください」

 クヨムはタブレットをカクヨに見せた。

「なになに〜。VRMMOに閉じ込められた人がいるみたい? そんなことが起こるんですね〜」

「博士〜、起こるんですね〜じゃないですよぉ。どうにかしないと大変ですよ」

「ん〜、神経の出力を読み取って、それと体が余計な動きをしないようにしているだけですから〜、装置を引っペがしちゃえば大丈夫ですよ〜」

「博士〜、何十万人もいるんですよぉ。それに装置を取ったら死んじゃうって」

「もう、今だって死んでるようなものじゃない。引っぺがしても同じだと思うけどなぁ。じゃぁ、こうしましょう」

 カクヨは机の上にあるデスクトップパソコンに向かった。

「はいはいはい。クラックしちぃます。あはは、かんた〜ん」

 そこまで言ったときだった。

「えへ、えへ、えへ、えへ、えへへへへ」

 カクヨの頭脳が超超超高速で情報処理をしているの口癖、というかたぶん意識していないだろうが、そういうときに漏れる声だった。声だけでなく顔も緩んでいる。

「戻るかわりに何か代償をはらってもらうのもいいですね。えへ、えへ、えへ、えへ、えへへへへ」

 カタカタとキーボードを叩く音がする。

「まぁ、家族の口座から二割でいいかな」

 カタとカクヨはリターンキーを押した。

「博士〜、それって犯罪ですよ〜」

「カクヨがちょっと人助けしたんですから、これくらいいいじゃないですか。そういう後ろ向きなとこがクヨムくんの悪いとこだよね〜」

 そういうと、カクヨは小さな脚立からハンモックに乗って寝転んだ。

 そしてカクヨは呟いた。

「あ〜ぁ、退屈。なにかおきないかな〜」


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