12.服《ホーリー》
天の御梯子出。
我の声を聞きたまへ。
祝福を受けし、安寧の光。
"ホーリー"
- - - - -
「そんで、服ってどこに行くん?」
「そこまでは決めてないわ。まあ、魔女服は陽炎通りに多いって聞くし、行ってみましょうか。」
- - - - -
と、そんなわけで海の中に戻ってきました。
日の光が入りにくいから、全体的に暗いけど。
そんなことお構いなしに店員や、行き交う魔女たちは明るくて姦しい。
何処の世界も変わらない物で、女三人寄れば姦しいわけですなー。
「魔女服かー。此れがそうなんだよね?何だか凄く…生地が少なくない?」
陽炎通りに着いたわけだけど、そこには確かに沢山の服が置いてあったよ。
でもさ、どれも物凄く生地が少ないと言うか、露出が多いと言うか。
凄くエロいってわけで。
「なんや、えらいスースーしそうやなー。」
「まあ、此処に置いてるのはインナーだからね。魔女服には2種類あるのよ、インナーとアウターね。」
「で、これがインナーってこと?」
これは、所謂下着とかそう言う物なのかな?
だとすると納得の露出度だけど。
「そう。魔女って言うのは、基本的に服を着ることにメリットが少ないわ。その一つとして、魔力の吸収が関係してるのよ。」
レイアちゃん曰く、魔力は外界と接している肌から吸収するもので、服はそれを阻害するため、魔力の吸収が落ちてしまうらしい。
特に、肌に直接触れている部分は魔力の吸収がほぼゼロになっており、連続で魔法を使わなければならない時や、結界などの維持が必要な魔術を扱うときには、致命的な差が出てしまうらしい。
「成る程、だから薄着になるわけかー。」
「いえ、単に高いからよ。」
「ほえ?」
何だそれー!
さっきまでの力説は何だったんだ。
「インナーとして使われている生地には、導魔体になるような付加魔術が掛けられているわ。さらに、今現在売られている者はほとんどが吸魔の付加も掛かっているの。そうすると、生地の多い服はそれだけ必要な魔力が増えてしまって、作成が困難なのよ。結果、生地の多いインナーは国家予算レベルの値段になってしまうの。」
な、成る程ー。
RPG何かでやたらと薄着な魔法使いの存在が訳分からなかったけど、そんな裏事情が…。
「そうだったんだ。それで、アウターってのは?」
「インナーが外界との繋がりを強くする服だとすると、アウターは全くの逆ね。全ての生命は、知らず知らずの内に、自分の周りに魔力の幕を張ってるの。大抵の場合は空気中に霧散して意味が無いのだけれど、魔女位の魔力になれば、それそのものが魔術への抵抗力になるのよ。だから、霧散しにくいように、体を覆って魔術抵抗を上げる役割が有るわ。ついでに、魔力が漏れにくくなるから、野生の生物に見つかりにくくなるわね。」
うーむ、成る程。
確かに、理に適ってる。
こっちは色んな人が来てるのを見たから大体わかるよ、所謂ローブみたいなものだね。
こっちもRPGの話をすれば、何で布の服を着ただけで魔術防御が上るんだって思ったりしたことあるよ。
うん?
って事はさ、今通りを歩いてる魔女さん達は皆スッポリ被ったローブの下に、痴女とも思えるくらいの露出の多い服を着こんでいるってことですか?
うわー、男の人が居たらカーニバルだよ…。
「そうなんやー。でも、アウター着たら、インナー意味ないんとちゃう?」
「ダボッとした服だから、ある程度の魔力吸収は見込めるわ。でも確かに、ヴィスカの言う通り魔力の吸収率がやはり落ちてしまうのよね。だから、大抵の魔女は本気で魔法を使うとき、アウターを脱ぐわね。」
うわーい。
私は、脱ぎたくないぞー!
あんなの着る時点で恥ずかしいのに、人前でそれを晒すとか、有りえない!
いや、でも周りは魔女ばっかりだしみんなで渡れば怖くないって感じでいけるかな?
やっぱり無理!
「さ、長くなったけど服を買いましょうか。」
「やっぱり、当分はこの服で…。」
「何言ってるの、確かに、良い素材を使っていて、導魔性は強そうだけどいつまでもそんな格好してるわけにはいかないわよ?」
そんな格好って…。
一応、ミリオンスペルの初期装備で如何にも何処にでもいる村人っぽい服装なんだけど…。
あれかな?
私がおかしいのかな?
「せやね、アグちゃん結構浮いとるよね。」
「いや、ヴィスカだって普通の服を着てるんじゃ?」
「うん?ヴィスカのそれは体の一部を変質させて作って有るものよ。有体に言えば、すっぽんぽんね。」
ああ、おかしいんだね。
私が間違ってるんだね。
ナガイモノニハマカレロッテコトネ!
- - - - -
「こっちとこっち、どっちが良いかしら!」
「これと、これも良く有らへん?」
ああ、私の服選びなんですよね。
楽しそうで何よりです。
あとヴィスカ、それ下の方が無いよ。
多分、人魚用とかそんなものだよ。
「あのー、やっぱりお金ないし…。」
所持金は0だ。
今回はレイアちゃんのご厚意で貸していただけるそうだ。
勿論利子付きで。
「あら、ちゃんと沢山持ってきてるわよ?利子だけで生活が出来るくらいには。」
「堪忍してー!」
結局、とっても露出の高い服を3着、アウターの茶色のローブを1着買いました。
ああ、お金どうしよう。
それと、凄く恥ずかしいんだけど…。
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